うい。
「全米中のバスケを訪れる」が目標、乗り鉄的現地観戦愛好家のBall Otaku Bros(@b_o_bros)だ。
今回はドウェイン・ウェイドの母校マーケット大学を紹介する。
マーケット大学
基本情報
名称: Marquette University
愛称: Golden Eagles
所属: Big East Conference
19-20: 18勝12敗
18-19: 24勝10敗NCAAトーナメント1回戦敗退
17-18: 21勝14敗NIT出場
16-17: 19勝13敗NCAAトーナメント1回戦敗退
近年の話: マーカス・ハワード時代終了
近年のマーケット大学と言えば絶対的エースでスコアリングマシーンのマーカス・ハワード(Markus Howard)だった。2019-20、ハワードは同大のみならずビッグ・イースト・カンファレンスの歴代得点記録を塗り替え、コンセンサス・オール・アメリカンの1stチーム入りを果たした。
注目選手
DJ・カートン(188㎝/2年/#21)
注目選手はオハイオステイト大学から編入してきたDJ・カートン(D.J. Carton)だ。昨2019-20、カートンは1年生ながら平均10.2点、3.0アシスト、2.8リバウド、FG47.7%、スリーポイント40%を記録した。
ビッグ・イースト・カンファレンス
チーム史
前アル・マクガイア時代(1930-58)
ビル・チャンドラー(1930-51)
1930年、一足早くバスケ部が活発化していたウィスコンシン大学ACのビル・チャンドラー(Bill Chandler)がHCに就任した。チャンドラーはマーケット大学のバスケ部の土壌を作り上げ、同時に全米バスケットボールコーチ協会の会長として1938年のNCAAトーナメント初開催に貢献した。ちなみに、チャンドラーのチームはNCAAトーナメントに一度も出場していない。
テックス・ウィンター(1951-53)
チャンドラーに代わったのがテックス・ウィンター(Tex Winter)だ。ウィンターはトライアングルオフェンスを実践化させたフィル・ジャクソンの参謀である。ウィンターはチームをNCAT(National Catholic Invitational Tournament)優勝に導いた。1953年、ウィンターはカンザス・ステイト大学に戻った。
ジャック・ネイグル(1953-58)
チャンドラーとウィンターのアシスタントコーチを務めていたジャック・ネイグル(Jack Nagle)がHCに昇格した。同時にニックネームがヒルトパーズからウォリアーズに変わった。1955年、チームはNCAAトーナメント初出場を果たし、マイアミ(オハイオ州)大学とケンタッキー大学を破ったが、アイオワ大学に敗れてエリート8に終わった。しかし、その後の成績は芳しくなかったため、ネイグルは解任となった。
エディ・ヒッキー(1958-64)
その後、1948年にSt.ルイス大学をNIT優勝に導いたエディ・ヒッキー(Eddie Hickey)がHCに就任した。ヒッキーはネイグルが残したマーケット大学史上ベストリバウンダーのドン・コージス(Don Kojis)と共に就任1年目にNCAAトーナメントスウィート16に進出した。しかし、成績不振とヒッキーの横暴な態度に嫌気がさした大学が彼を解雇した。
アル・マクガイア時代(1964~1977): 全米トップ校の1つに
- NCAAトーナメント優勝(1977)
- NCAAトーナメント準優勝(1974)
- エリート8×2(1969、76)
- NIT優勝(1970)
マーケット大学がバスケットボールスクールとして世間に認知させたのがアル・マクガイア(Al McGuire)だ。
ニューヨーカーのマクガイアは地元ニューヨークから優秀な選手達を発掘してチームを強化した。その中のベストリクルートがジョージ・トンプソン(George Thompson)だ。トンプソンはチームの歴代得点記録を更新する大活躍で1968年のスウィート16と1969年のエリート8進出に貢献した。
その後、1970年、NCAAトーナメントの会場場所が気に入らなかったマクガイアはNCAAトーナメント出場を辞退してNITに出場してしまった。NCAAトーナメントの下位ラウンドは全米中のいくつかの地区に分かれて行われる。当然、大学に近い場所の方が移動が楽でファンも集まれるので有利になるのだが、マーケット大学はオハイオ州デイトンでは無く、テキサス州フォートワースが会場のブロックに組み込まれていたのだ。以降、NCAAトーナメントに招待されたチームは基本的には出場を辞退できないルールが作られた。
1974年、ウォリアーズはNCAAトーナメント決勝に進出した。しかし、マクガイアはテクニカルファールを2度コールされて退場となってしまった。指揮官を失ったチームは敗退した。
1977年、ボー・エリス、バッチ・リー、ジェローム・ホワイトヘッドをリクルートしたウォリアーズはレギュラーシーズンでは黒星を重ねていたが、悲願のNCAAトーナメント優勝を果たし、マクガイアは引退した。
マクガイアの弟子時代(1977-86): 世代交代失敗
ハンク・レイモンズ(1977-83)
マクガイアのリクルートを担っていたハンク・レイモンズ(Hank Ramonds)がHCに昇格した。しかし、レイモンズにHCは役不足だった。得意のリクルートではドック・リバースやジェローム・ホワイトヘッドといったNBAで活躍する選手を集めて成功を収めていたが、試合ではNCAAトーナメント出場が精一杯だった。
リック・マジェルス(1983-86)
次にマクガイアとレイモンズのアシスタントだったリック・マジェルス(Rick Majerus)がHCとなった。マジェルスの成績は前任のレイモンズよりも悪かった。故に、当時ミルウォーキー・バックスのHCだったドン・ネルソンがマジェルスを引き抜こうとした際、大学側は彼を引き留めようとはしなかったのだ。
これがマーケット大学の運命の分かれ道だった。数年後、マジェルスは大化けした。バックスを1年で辞めてボール・ステイト大学HCになった彼は就任2年目に29勝3敗の大躍進を遂げた。そして、マジェルスは迎え入れられたユタ大学でNCAAトーナメント準優勝とNBA選手量産を成し遂げて見事名門を復活させたのだ。
一方、マーケット大学は暗黒期に突入した。唯一の希望がマジェルス置き土産のトニー・スミスだった。
トム・クリーン時代(1999-2008): Dウェイド&ファイナル4
- ファイナル4(2003)
その後、マーケット大学は長い倦怠期に突入することとなる。同大はNCAAトーナメントにちょいちょい顔を出してはいたものの、1回戦敗退や2回戦敗退が続き、いつの間にか初優勝から25年もの歳月が経過してしまっていた。
そんな落ち目のマーケット大学に入学してきたのがドウェイン・ウェイドである。ウェイドはフレッシュマンの時は学業不振のために公式戦に出場できなかったが、2年次(2001-02)は得点とスティール部門でカンファレンスUSA内でトップとなって才能の片鱗を見せた。
そして、2002-03、さらなる成長を遂げたウェイドに牽引されたマーケット大学は順々化粧で優勝候補ケンタッキー大学をアップセットして初優勝を遂げた1977年以来のファイナル4進出を果たした。
しかし、その後、マーケット大学は再びNCAAトーナメント当落線上チームに戻ってしまったためクリーンは大学を去った。
バズ・ウィリアムス時代(2008-14)
- エリート8(2013)
- スウィート16×2(2011、12)
バズ・ウィリアムスがHCに昇格した。ウィリアムスはリクルートではジミー・バトラーとジョー・クラウダ―をJUCOから編入させて大成功を収め、なお且つエリート8と2度のスウィート16進出を果たして「ただNCAAトーナメントに出場するだけ」の壁を越えた。
その他
ジーン・バース(1944-48)
ジーン・バース(Gene Berce)はMU最初のエースだ。当時既に強かったウィスコンシン大学が奨学金オファーを保証しなかったバースをチャンドラーが引き取った。
ヘンリー・エレンソン(2016-17)
ヘンリー・エレンソンは2003年以降のマーケット大学のベストリクルートだ。エレンソンは2015年高卒組で全体9位と評価されていた。1年次から平均17点、9リバウンド以上をたたき出して前評判通りの活躍を見せたエレンソンはワン&ダンでNBA入りした。
現地観戦
アクセス
名称: Fiserv Forum
住所: 1111 Vel R. Phillips Ave, Milwaukee, WI
マーケット大学バスケ部はミルウォーキー・バックスと同様にファイサーブ・フォーラムをホームアリーナとしている。ファイサーブ・フォーラムはミルウォーキーのダウンタウンにある。
チケット
同大はパワーカンファレンスに所属しているため、試合によってはチケットが売り切れる可能性もある。だから、チケットの購入は会場では無く、 Ticketmaster、StubHub、VIVIDSETAS、公式サイト等で事前に購入するのがオススメだ。
カレッジギア
大学のグッズの購入はキャンパス内のブックストア(カレッジストア)がオススメだ。場所はグーグルマップで「大学名 bookstore」で検索すれば出てくる。
ブックストアは書店では無い。ブックストアはアパレルと日用品が売られている雑貨屋だ。と言うのも、アメリカの大学生は基本的に寮やキャンパス付近での生活を強いられるため彼らの生活に必要となるアイテムが置いてあるのである。
ちなみに、カレッジのアイテムはアリーナでも買える。が、品揃えは良くない。時間があれば是非ともキャンパス内or付近のブックストアに立ち寄ることを俄然オススメする。
まとめ
正直、マーカス・ハワードを失ったマーケット大学がどうなるかは不明だ。ただ、ビッグイーストはライバル達が次々と強くなっている。厳しいシーズンが待っているかもしれない。
【11日目】シートンホール大@マーケット大: マーカス・ハワードとマイルズ・パウエルのスコアリングガード対決は、ハワードが37得点、パウエルが28得点と期待を裏切らない活躍で本当に最高だった! #現地観戦兄弟 pic.twitter.com/2bGPnd24Jr
— B.O. BROS (@b_o_bros) March 1, 2020
アル・マクガイア・センターも許可を得て見学させてもらった。やはりウェイド関連はかなり多い。が、個人的な「マーケット大と言えば」は1970年のNCAAトーナメントを辞退してのNIT優勝だな。これがきっかけでNCAAトーナメントの招待は辞退できないようにルールが変わった。 pic.twitter.com/SFxiWqx8Aj
— B.O. BROS (@b_o_bros) March 1, 2020
関連記事
五大湖エリア

五大湖エリア(北東部)
五大湖エリアは五大湖周辺を括ったエリアだ。北にミネソタエリア、東にニューイングランドエリアとボスウォッシュエリア、南にオハイオバレーエリア、西にカンザスシティエリアがある。
トロント(カナダ)
トロントはカナダ最大の都市だ。NBAトロント・ラプターズとGリーグチームのラプターズ905、そしてカナダ国内リーグのチームがある。一方、多民族都市で市内では様々な文化体験ができる。ナイアガラ滝も近い。
バッファロー(ニューヨーク州)
バッファローはカナダとの国境の街だ。アメリカからトロントへ向かう通過点にあるためかなり行きやすい。NCAAトーナメント常連校になりつつあるバッファロー大学を含めて合計3校のNCAA D1大学がある。
ピッツバーグ(ペンシルベニア州)
ピッツバーグは鉄鋼の町として知られているが、同時に学術都市でもある。NCAA D1はピッツバーグ大学、デュケイン大学、ロバート・モリス大学、NCAA D3は最初の大学の試合を行ったとされるジェネバカレッジがキャンパスを構えている。
ウェストバージニア大学(ウェストバージニア州)
デトロイト(ミシガン州)
デトロイトは自動車産業で酸いも甘いも経験した街だ。近年はかつての賑わいを取り戻しつつある。NBAデトロイト・ピストンズが郊外からダウンタウンにホームアリーナを移転したのはその最たる例だ。
ミシガン大学(ミシガン州)
ミシガン大学はデトロイト・ウェイン・カウンティ国際空港から長距離バスで45分程のアナーバーにある。
ミシガンステイト大学(ミシガン州)
ミシガンステイト大学はデトロイト・ウェイン・カウンティ国際空港から長距離バスで1時間半程のイーストランシングにある。
クリーブランド(オハイオ州)
クリーブランドはレブロン・ジェームスを産んだ労働者の町だ。NBAクリーブランド・キャバリアーズはそんな街の唯一の希望だったレブロンが去って以降一気に高額チームから格安チームに転落した。その他、クリーブランドステイト大学等ミッドメジャー4校がキャンパスを構えている。
オハイオステイト大学(オハイオ州)
オハイオステイト大学は全米最大規模の超マンモス大学だ。キャンパスはオハイオ州のど真ん中の州都コロンバスにある。
ニューキャッスル(インディアナ州)
ニューキャッスルはインディアナポリスとデイトンの中間に位置する田舎町だ。インディアナ・バスケットボール殿堂とニューキャッスル高校がある。
インディアナポリス(インディアナ州)
インディアナポリスは五大湖から離れた内陸部にある地方都市だ。エリアの中で最も雰囲気が良い。NBAインディア・ペイサーズとブラッド・スティーブンス時代に2年連続でNCAAトーナメント準優勝を果たしたバトラー大学がある。
シカゴ(イリノイ州)
シカゴはアメリカ北東部と中西部のターミナルとして栄えた大都市だ。NBAはシカゴ・ブルズ、NCAAはデポール大学、ノースウェスタン大学、ロヨラ大学(シカゴ)など古い歴史を持つチームがキャンパスを構えている。
ミルウォーキー(ウィスコンシン州)
ミルウォーキ-はシカゴと一緒に周っておきたい町だ。NBAはミルウォーキー・バックス、NCAA D1はドウェイン・ウェイドの母校マーケット大学とNBAプロスペクトのパトリック・ボルドウィンJrの進学先候補のウィスコンシン大学ミルウォーキー校がある。
ウィスコンシン大学(ウィスコンシン州)
強豪ウィスコンシン大学はミルウォーキーから長距離バスで片道1、2時間程のマディソンという町にある。
カレッジフープスの記事
NCAA基礎講座の使い方
ステップ1: カレッジフープス全体(大学体育協会)を学ぶ
↓
ステップ2: NCAA(D1、D2、D3)を学ぶ
↓
ステップ3: NCAA D1のスケジュールを学ぶ
↓
ステップ4: NCAA D1のカンファレンスを学ぶ
↓
ステップ5: エリジビリティを学ぶ





参考
2019 ESPN 100(espn.com)
Former Ohio State basketball player D.J. Carton granted immediate eligibility at Marquette after transfer(cleveland.com)
Marquette Golden Eagles School History(sports-reference.com)
NBA & ABA Players Who Played For Marquette(basketball.realgm.com)
100 years of Marquette basketball: Full of golden moments(jsonline.com)
Bill Chandler(1988)(gomarquette.com)
Marquette’s 1951-52 Team To Be Honored At Halftime Of Saturday’s Basketball Game(gomarquette.com)
Ex-Marquette basketball great Gene Berce has died at age 91(jsonline.com)
Henry Ellenson(247sporets.com)