【NCAA】カレッジバスケ解説: トランスファー(転校/編入)

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概要

  • トランスファー: 転校
  • 主な転校生
    四年制大学→四年制大学
    短大→四年制大学
    四年制大学→大学院
  • レッドシャツ: 転校直後の1年間は公式戦に出場不可
  • 例外条項: レッドシャツ免除のパターン
  • トランスファー=補強法
  • 近年の傾向: ルールの緩和

トランスファーは「他大学への転校(編入)」or「転校生」を指して用いられる。アメリカで転校は日本でバイト先を変える位に当たり前に行われている。近年、トランスファー数は「各大学のコーチ達が身体的にも精神的にも成熟している上級生を好む」+「NCAAの大幅なルール緩和」によって増加の一途を辿っている。一方、選手は編入直後に試合に出場できるとは限らない。学生アスリート達はいくつかの例外条項のどれかに当てはまらない限りは編入後1年間はレッドシャツと呼ばれる公式戦に出場できない状態になる。

トランスファー

基本情報

トランスファーは「他大学への転校(編入)」or「転校生」という意味の単語だ。アメリカで転校は当たり前に行われている。転校の理由は「コーチと相性」「コーチの解雇」「放校処分」等様々だ。そして、最も重要なのは「編入先でいつからプレーできるのか」である。NCAAはD1とD2の学生アスリートにおいてはエリジビリティー(プレー資格)を規定しているため誰しもが編入先で即座に公式戦に出場できる訳では無い。例えば、最も典型的なD1校からD1校への編入の場合、その選手は編入先での初シーズンをレッドシャツ(=公式戦出場不可)として過ごさなければならない。

トランスファーポータル

もし編入を望む場合、選手は編入の意思をコーチに伝えた後、トランスファーポータル(transfer portal)と呼ばれる編入希望者名簿に名前を載せる。通常、各大学のスタッフは他大学の選手とコミュニケーションを取ることを禁じられている。トランスファーポータルに名前が載っている選手とだけは連絡が許されている。選手側からコーチに連絡することも可能だ。

転校生1: 四年制大学の学部生

シーズン終了後の転校

編入初年度はレッドシャツ

基本的に選手が転校の意思を表明するのはシーズン終了後だ。四年制大学の学部生が他大学へ編入する場合、その選手は編入した最初のシーズンをレッドシャツで過ごさなければならない。例えば、A選手が〇大学で2019-20シーズンをプレーした後に×大学に転校した場合、A選手は2020-21シーズンは公式戦に出場できず、公式戦に出場できるのは2021-22シーズンからとなる。

シーズン途中の転校

シーズンの残り+翌シーズンの前半

一方、シーズン途中に転校した場合、その選手はそのシーズンの残りと翌シーズンの前半をレッドシャツで過ごさなければならない。例えば、A選手が〇大学で2019-20シーズン前半に転校を表明してチームを離れた場合、A選手が公式戦に出場できるのは2020-21シーズンの後半からとなる。

転校生2: JUCO(短大)生

卒業した場合→即プレー可
卒業していない場合→レッドシャツ

短大を卒業して4年制大学に編入した場合、その選手は編入初年度から即プレー可能となる。一方、卒業せずに編入した場合、当該選手は四年制大学の編入生と同様に編入先での最初のシーズンをレッドシャツで過ごさなければならない。

転校生3: 大学院生

編入後、即刻プレー可能

NCAAでは学部生と同様に大学院生(Graduate Student)もプレーすることができる。もし四年制大学を卒業して他大学の大学院に転校する場合、その学生は編入初年度にレッドシャツになる必要は無く、即刻プレー可能となる。例えば、A選手が2020年に〇大学を卒業して×大学の大学院に進学した場合、A選手は2020-21シーズンに×大学の選手としてプレーすることができる。

レッドシャツを免除されるケース

  • 例外条項に該当
  • ウェイバーの認可

例外条項

パターン1: 最初の転校(NEW)

2021年4月、NCAAは遂にNCAA D1の全てのスポーツでワン-タイム例外条項(One-Time Exception)を認めた。ワン-タイム例外条項は最初の転校の場合はレッドシャツが免除される例外条項だ。ワン-タイム例外条項はフットボール、バスケ、野球、アイスホッケー以外の競技とNCAA D2で試験導入された後、NCAA D1でも「四年制大学→四年制大学」の転校にのみ主要競技でも解禁となった。

パターン2: 他大学を卒業した選手

先述の「短大卒業→四年制大学」や「四年制大学卒業→大学院」の編入した場合のレッドシャツ免除は実はグラデュエートエクセプション(Graduate Exception)と呼ばれる例外条項の1つである。

パターン3: レッドシャツ経験済み選手

既にレッドシャツ経験済み選手は編入初年度からプレーすることができる。例えば、2018-19をレッドシャツで過ごしたA選手が2019年に〇大学から×大学に編入した場合、その選手は2019-20から×大学の選手としてプレーすることができる。その際、怪我、学業不振、自主などレッドシャツの理由は問われない。

パターン4: ウォークオン

2019年秋学期以降、ウォークオン(Walk-on)や少額の奨学金受給者は編入先で即プレー可能になった。ウォークオンとはスポーツ奨学金を受け取っていない選手のことである。

パターン5: 秋学期開始前に編入した1年生

2019年秋学期開始前に大学を変更した1年生は即プレー可能となった。一般的に学生アスリート達は新学期開始の8月中旬前の夏休み中からキャンパスに入寮してトレーニングに励む。つまり、夏休み中に転校を表明した場合、編入先で即プレーが可能となる。実際、ミッチェル・ロビンソンは2017年の夏休み中にウェスタンケンタッキー大学から転校を表明し、ルイビル大学への編入を決めたものの、当時のルールでは2017-18をレッドシャツで過ごさなければならなかったため、最終的には大学を辞めてNBAドラフトまでを自主練で過ごした。

ウェイバー

ウェイバー1: シーズン途中に転校を表明する

  • クアッド・グリーン
    2018-19前(秋学期): ケンタッキー大学でプレー
    2018-19後(春学期): ワシントン大学でレッドシャツ
    2019-20: 開幕から出場
  • カイル・ウィットニー
    2019-20(春学期開始後): ケンタッキー大学→転校表明
    2020-21: 春学期からの出場確定

ウェイバー(Waiver)とは自身のプレー資格を放棄した者という意味だ。NCAAにウェイバーとして認めた転校生は編入先で初年度から即プレー可能となる。近年、最もウェイバーの認可が下りやすいパターンはシーズン中盤以前にトランスファーを表明した選手だ。早い時期にトランスファーの意思を発表した場合、編入先が決まる/決まらないに関わらず、選手は同シーズン後半をプレーできない代わりに翌シーズンの最初からプレーすることが可能となる。

ウェイバー2: 怪我でシーズンの多くを欠場

また、前シーズンの大半を欠場した場合、ウェイバーとして認められることがある。

ウェイバー3: 本人以外の要因で転校せざるを得ない場合

家族の事情

家族の看病等で実家近くに住まざるを得ず、それ故に実家近くの大学に転校せざるを得ない場合、その選手は即プレー可能となる。例えば、アイザイア・ワシントンは2019年にミネソタ大学から家族の看病を理由に地元ニューヨークのアイオナ大学に編入し、編入直後の2019-20をプレーした。ちなみに、家族の事情を理由に地元の大学に編入するのはレッドシャツを免除するためによく利用される常套手段である。

所属チームのスキャンダル

所属チームのコーチやチームメイトのスキャンダルが発覚してチームがNCAAからNCAAトーナメント出場停止処分等の制裁を受けた場合、事件に無関係の選手は「転校せざるを得ない状況に陥ってしまった」として転校先でのレッドシャツを免除される。

健康状態

加えて、NCAAは2022年1月からウェイバーのガイドラインを更新する予定だ。新ガイドラインでは選手は健康上の理由で転校せざるを得ない場合にウェイバーの申請が可能になる。例えば、選手が現在在籍している大学で怪我の治療が出来ない場合、あるいは近隣住民から脅迫などを受けて命の危険が迫っている場合、ウェイバーの申請が可能だ。

近年のウェイバー事情

ウェイバー審査の緩和

近年、NCAAからウェイバーとして認められるケースが増加している。特に2020年はコロナの影響で2019-20が中止となり、2020-21がシーズン短縮(&今後の先行きが不透明)となったため、遂にはシーズン途中にNCAAが全員にウェイバーを配布することを発表した。

不明瞭な基準

一方、ウェイバーの基準が不明瞭な点は度々指摘されている。例えば、2019年、ネバダ大学ラスベガス校(UNLV)のHCが交代したため、それに伴って6名の選手が他大学へと転校することになったのだが、テキサス工科大学に編入したジョエル・ンタブウェ(Joel Ntabwe)だけがウェイバーを獲得できなかったのだ。

トランスファーの重要性: 補強法

手っ取り早い補強法

編入生を呼び込むことはチームを強化する手っ取り早い方法となっている。カレッジバスケでは上級生が多いチームが強いという通念がある。と言うのも、上級生の方が下級生よりも身体的にもメンタル的にも成熟しているからだ。直近の例を挙げれば、ネバダ大学を負け越しチームから常勝軍団に仕立て上げたエリック・ミュゼルマン(Erick Musselman)だ。2018-19、ネバダ大学の主力4人が大学5年目の転校生達で構成されていた。

最も好まれるトランスファー

編入生の中で特に好まれるのがレッドシャツになる必要が無く即戦力として期待できる学生だ。その中でもエリジビリティーを2年残したGS生かなり希少価値が高い。大学を卒業できるのが最短でも3年が必要なため、多くGS生のエリジビリティーは残り1年しかないからである。在学3年中1シーズンをレッドシャツで過ごした大学院生の場合、エリジビリティー2年を有した最強のGS生が誕生する。先日、ポートランド大学からカリフォルニアエリア大学デイビス校の大学院へ編入した渡辺飛勇選手はこれに該当していた。

2021-22以降のトランスファー状況

NILのリクルートへの影響

主なNILのリクルートへの影響
  • NILを口説き文句に活用

NILはリクルートに多大な影響を与えている。特にハイメジャー校は高いブランド力と強力なブースター基盤を持つため巨額のNIL契約でリクルート力を増強させている。実際、2022年、カンザスステイト大学のニジェール・パック(Nijel Pack)は億万長者ジョン・ルイス(John Ruiz)の二社と$80万/2年のNIL契約を結んでマイアミ大学(フロリダ)に転校した。また、アイザイア・ウォング(Isaiah Wong)は自身のNIL契約金の上昇次第での転校の有無を公言した。NCAAはオルストン裁判の結果を受けて規制強化には踏み切れないため関係者への事実確認に終始してしまった。

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まとめ

  • トランスファー: 転校
  • 主な転校生
    四年制大学→四年制大学
    短大→四年制大学
    四年制大学→大学院
  • レッドシャツ: 転校直後の1年間は公式戦に出場不可
  • 例外条項: レッドシャツ免除のパターン
  • トランスファー=補強法
  • 近年の傾向: ルールの緩和

トランスファーは「他大学への転校(編入)」or「転校生」を指して用いられる。アメリカで転校は日本でバイト先を変える位に当たり前に行われている。近年、トランスファー数は「各大学のコーチ達が身体的にも精神的にも成熟している上級生を好む」+「NCAAの大幅なルール緩和」によって増加の一途を辿っている。一方、選手は編入直後に試合に出場できるとは限らない。学生アスリート達はいくつかの例外条項のどれかに当てはまらない限りは編入後1年間はレッドシャツと呼ばれる公式戦に出場できない状態になる。

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参考

Summary of NCAA Regulations NCAA Division I(fs.ncaa.org)
Transfer terms(ncca.org)
Notification of Transfer: What Division I Student-Athletes Should Know(ncaa.org)
Auburn makes the cut for Georgetown transfer Mac McClung(al.com)
Kentucky basketball’s Kahlil Whitney, a former top recruit, announces plans to leave school(usatoday.com)
NCAA Transfer Exceptions and Waivers(athleticscholaships.net)
DI Council adjusts transfer rules(ncaa.org)
Sources: Five-star recruit Mitchell Robinson not expected to play college basketball this season(sports.yahoo.com)
Mitchell Robinson will bypass college, begin training for Draft(247sports.com)
Sources: NCAA one-time transfer proposal, notification deadlines being finalized(theathletic.com)
Waiver granting hoops transfers immediate eligibility in 2020 set to be approved(theathletic.com)
Beard “floored” and “sick stomach” after hearing Ntambwe’s transfer waiver appeal denied(kcbd.com)
NCAA Division I One-Time Transfer FAQs(nabc.com)
DI Council adopts new transfer legislation(ncaa.org)
DI Council adjusts transfer waiver guidelines(ncaa.org)
Sources: NCAA Enforcement Begins Attempted NIL Crackdown With Miami Inquiry(si.com)
NIL agent says Miami hoops star Isaiah Wong will enter transfer portal if NIL compensation isn’t increased(espn.com)

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