

概要
- 所属校: 約300校
- カンファレンス: 23
- シーズン: 11月~3月
- 特徴
アラスカ州/カナダ/メキシコ/プエルトリコの加盟校
インディペンデント校(カンファレンス無所属) - HP: http://www.ncaa.org/about?division=d2
NCAA D2はNCAA D1の規模が小さくなった版だ。所属ディビジョンは概ね大学の予算で決まる。だから、実力はD1レベルに強くても予算が少ないためにD2に所属しているチームもある。実際、毎年1度位はD2校がD1校に勝っている。超強豪ノースウェスト・ミズーリ・ステイト大学は2019-20のプレシーズンゲームでデューク大学と6点差の試合する程に強い。近年ではD1昇格初年度を勝ち越しで終える大学も多い。選手がNCAA D2校を選ぶケースもある。例えば、マックス・ストラスはシカゴステイト大学を蹴ってNCAA D2のルイス大学に進学した。
NCAA
- NCAA: 全米最大の大学体育協会
- NAIA: 小規模校が所属
- NJCAA: 全米の短大が所属
- CCCAA: カリフォルニア州の短大が所属
- NCCAA: 小規模のキリスト教系大学が所属
NCAAは全米最大の大学体育協会だ。大学体育協会は競技大会の運営や各大学運動部の管理を行っている組織である。

ディビジョン
三部制
現在、NCAAは三部(DivisionⅠ、DivisionⅡ、DivisonⅢ)制を敷いている。各ディビジョンの所属校数は300~350校だ。一般的にDivisionはDに略される。数字はローマ数字(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)では無く、算用数字(1、2、3)が使用される。例えば、「DivisonⅠをD1」と書いてDivisionⅠでプレーしている学生アスリートをD1プレーヤーと表記する。
ディビジョンの決定
所属ディビジョンは大学の意向(運動部の予算)で決まる。NCAAは各ディビジョンの所属に際していくつもの条件を大学に課している。例えば、NCAA D1では各大学は男女合計14部以上を運営しなければならない。そして、概して上位ディビジョンはより大きな予算が必要になる。強さは関係無い。例えば、シカゴステイト大学は毎年5勝25敗程度にも関わらずNCAAの条件をクリアしているためD1に居続けている。ちなみに、近年ではNCAA D1は「昇格→毎年数校/降格→数年に1校」のため微増傾向にある。2021年にはSt.トーマス大学が異例のNCAA D3からNCAA D1へジャンプアップした。
ディビジョンの比較
各ディビジョンの所属校の傾向
ディビジョン | 所属校 | カンファレンス | 大学規模 |
DivisionⅠ | 約360校 | 32 | 大~小 |
DivisionⅡ | 約300校 | 23 | 中~小 |
DivisionⅢ | 約300校 | 43 | 小 |
先述した通り、上位ディビジョンでプレーするためにはより大きな予算が必要となる。故に、自然と規模の大きな大学はD1、中規模の大学はD2、小規模の大学はD3に所属する傾向にある。
選手
ディビジョン | 選手数 | 高校バスケ部員に対する割合 |
DivisionⅠ | 約5500名 | 約1.0% |
DivisionⅡ | 約5500名 | 約1.0% |
DivisionⅢ | 約7500名 | 約1.4% |
NCAA D1~3プレーヤーはかなり少ない。全ディビジョンを合わせた選手数はアメリカの高校のバスケ部員の約3.5%程だ。
ルール
- 各チームのスポーツ奨学生数
- エリジビリティ(プレー資格)
- リクルート
各ディビジョン間ではルールが異なる。最も代表的なのはスポーツ奨学金枠数だ。NCAA D1校は最大13名、NCAA D2校は10名、NCAA D3は0名までと決まっている。エリジビリティ(プレー資格)に関するルールは上位ディビジョンの方が厳しい。

スケジュール
ディビジョン | ノンカンファレンス期 | カンファレンス期 | ポストシーズン |
DivisionⅠ | 11試合前後 (10~12月下) | 18試合前後 (1~3月中) | 2月下~4月上 |
DivisionⅡ | 8試合前後 (11~12月中) | 18試合前後 (1~2月中) | 2月下~3月中 |
DivisionⅢ | 5試合前後 (11~12月上) | 18試合前後 (1~2月中) | 2月下~3月中 |
スケジュールはディビジョンが下がるに連れて試合数と開催期間が小さくなっている。D2とD3の場合、冬休み期間(12月中旬~1月上旬)は試合を行わない場合も多い。

NCAAトーナメント
ディビジョン | 出場枠 | 開催期間 |
DivisionⅠ | 68校 | 3月中~4月上 |
DivisionⅡ | 64校 | 3月上~中 |
DivisionⅢ | 64校 | 3月上~中 |
NCAAトーナメントは各ディビジョンごとに開催されている。つまり、D1のNCAAトーナメント、D2のNCAAトーナメント、D3のNCAAトーナメントがある。各ディビジョン共に出場校数はほとんど同じで全6ラウンド制なのも共通している。最大の違いは「D1→2ラウンドごとに会場移動」「D2&D3→3ラウンドごとに会場移動」だ。そのため、前者と後者では開催期間が異なる。

ディビジョンの歴史
ディビジョン制は1956年に各大学を総合大学と単科大学でユニバーシティーディビジョン(現在のD1)とカレッジディビジョン(現在のD2)として始まった。その後、両ディビジョンは、大学規模と運動部の予算が必ずしも比例しなくなったため、現在のD1とD2に改められた。そして、1972年、NCAA D3がD2の予算すら厳しい所属校を集めて組織された。
NCAA D2出身のNBA選手
主なD2 to NBA選手(1980年代以降)
選手 | 大学 | NBA |
アール・ジョーンズ | コロンビア特別区大学 | 1984年1巡目23位 |
AJ・イングリッシュ | バージニア・ユニオン大学 | 1990年2巡目37位 約2シーズン |
マーカス・ケネディ | フェリスステイト大学(1986-89) イースタンミシガン大学(1989-91)*** | 1991年2巡目54位 NBA出場無 |
ベン・ウォーレス | バージニア・ユニオン大学 | オールスター |
ロナルド・マレー | シャウ大学 | 2002年2巡目42位 500+試合出場 |
ロバート・ワイリー | シンシナティ大学* ウォルシュ大学 | 2巡目51位 |
ギャレット・サイラー | オーガスタステイト大学 | 24試合出場 |
エリック・ドーソン | マクレンナン短大(2003-05) ミッドウェスタン大学(2005-06) | SAS(2011-12) 4試合出場 |
1980年代、現在のNBAの形が固まって以降、NCAA D2からNBAに辿り着いた選手は稀にいる。エリック・ドーソンは2009-10に三菱ドルフィンズでプレーした後にNBAデビューを果たした。
近年、D2 to NBAが増加中!?
2010年代中盤以降にNBAデビューを果たした選手
選手 | 大学 | NBA |
デリック・ホワイト | コロラド大学コロラドスプリングス校(2012-15) コロラド大学(2015-17)* | 2017年1巡目29位 現役 |
ジェイレン・モリス | モロイ大学(2013-17) | ATL(2017-18) MIL/SAS等 |
ジョシュ・マゲット | アラバマ大学ハンツビル校(2008-12) | ATL(2017-18) |
ジョーダン・ロイド | ファーマン大学(2011-12)* インディアナポリス大学(2012-16)RS | TOR(2018-19) |
ヘイウッド・ハイスミス | ウィーリング・ジーザス大学(2014-16) | PHI(2018-19) MIA |
エマニュエル・テリー | リンカン・メモリアル大学(2014-18) | PHX(2018-19) |
マックス・ストラス | ルイス大学(2014-16) デポール大学(2016-19)*** | CHI(2019-20) MIA |
ブロドリック・トーマス | トルーマンステイト大学(2015-16)** 短大(2016-17) トルーマンステイト大学(2017-20) | HOU(2020-21) |
近年、NBA from NCAA D2者の数は増加傾向にある。最たる例はデリック・ホワイトだ。ジョーダン・ロイドは2018-19にトロント・ラプターズで優勝も経験した。一方、ブロドリック・トーマスは怪我と学業不振で「NCAA D2校→短大→復学」の険しい道のりを乗り越えてNBAに辿り着いた。また、エマニュエル・テリーは2018-19に10日契約でフェニックス・サンズに加入してNBAデビューを飾った後、Gリーグやヨーロッパを経て、2021-22にハードシップ契約で古巣復帰を果たしている。そして、マイアミ・ヒートは2021-22にヘイウッド・ハイスミスとマックス・ストラスの2名のNCAA D2経験者をロスターに抱えていた。
NBAデビューを果たす可能性の高い選手
選手 | 大学 | NBA契約 |
ダウルトン・ホームズ | ウェスタンワシントン大学(2016-18) PLNU(2018-19) | SAS(2019-20)E10 NOP(2021-22)2W |
アミーア・ヒントン | ロック・ヘイブンズ大学(2016-18) シャウ大学(2018-19) | NYK(2019-20)E10 |
トレバー・ハディンズ | NMMSU(2018-22) | HOU(2022-23)2W |
ライアン・ホーキンス | NMSU(2017-21) クレイトン大学(2021-22)* |
ダウルトン・ホームズ(Daulton Hommes)は高校最終学年次に怪我で満足にアピールができなかったためNCAA D2のウェスタンワシントン大学に進学し、その後、2018-19には編入先のPLNU(Point Loma Nazarene University) でチームをNCAAトーナメント準優勝に導いた。アミーア・ヒントン(Amir Hinton)は2018-19にNCAA D2の得点王に輝いて1巡目指名の噂も出る程に至った選手だ。トレバー・ハディンズは2019、21、22年にノースウェスト・ミズーリ・ステイト大学をNCAA D2王者に導いた。ライアン・ホーキンスもクレイトン大学編入前にNWMSUでプレーしていた。
D2の日本人
- 田臥勇太選手(BYU at Hawaii/1999-2002)
- 谷口大智選手(SEOSU/2012-15)
- 田渡遼選手(Dominican Univ of Cal/2015-17)
- 内田雅樂(DUoC/2017-18)
- 榎本新作選手(ENMU/2018~20)
- 角野亮伍選手(SNHU/2016~20)
田臥勇太選手(BYU at Hawaii/1999-2002)
レジェンド田臥勇太選手も元D2プレーヤーだ。田臥選手は能代工業高校を卒業後にブリガムヤング大学ハワイ校(BYU at Hawaii)に入学した。ブリガムヤング大学ハワイ校はユタ州に本キャンパスを構えるブリガムヤング大学の分校だ。アメリカでは同じ大学システムでもキャンパス毎に違う大学として固有の部活を運営している。一方、出場機会は学業不振等で希望に沿うような形ではなかった。
田渡遼選手(Dominican Univ of Cal/2015-17)
近年では田渡遼選手がプレーしていた。

榎本新作選手(ENMU/2018-20)
アイザイア・マーフィーこと榎本新作選手もD2でプレーしていた。榎本選手はピマ・コミュニティーカレッジでプレーした後、2018年にイースタンニューメキシコステイト大学(ENMU)にトランスファー(編入)して、2018-19、スターティングメンバーとして27試合に出場して平均7.9P/3pt 38.4%の成績を残している。
角野亮伍選手(SNHU/2016-20)
角野亮伍選手もD2でプレーしていた。角野選手は藤枝明誠高校を卒業後、アメリカのSt. トーマスモア高校に編入して、16-17シーズンからサザンニューハンプシャー大学でプレーしているプレーヤーだ。3年目となった18-19シーズンは25試合に出場し、平均3.3得点を記録している。
関連記事
NCAA基礎講座
←スワイプ→



←スワイプ→



←スワイプ→



←スワイプ→



←スワイプ→



←スワイプ→



大学一覧

バスケ留学解説

NCAAの視聴方法

参考
Get to know Sixers rookie Haywood Highsmith (nbcsports.com)
‘Random’ Raptors player in viral Kawhi Leonard buzzer-beater photo had the best parade shirt(ftw.usatoday.com)
Garret Siler(basketball-reference.com)
Thomas Returns to Bulldogs as Champion(tmn.truman.edu)
Phoenix Suns add Emanuel Terry as hardship signing(arizonasports.com)
Pelicans sign Jose Alvarado and Daulton Hommes to two-way contracts(nba.com)
How Daulton Hommes became a surprise Div. II draft prospect(espn.com)
New York Knicks stay active after draft, signing trio of players(dailyknicks.com)
Hawkins to play for Raptors in NBA Summer League(yahoo.com)
「未来のスターを探せ! BBKスカウティングレポート No.012 角野亮伍(サザンニューハンプシャー大学1年)」(バスケットボールキング)
