概要
- フルライド(全額支給)
全支出: 入学金/授業料/寮費/テキスト代/食費等 - パーティアル(部分支給)
一部
スポーツ奨学金(Athletic Scholarship)は運動部員向けの奨学金だ。スポーツ奨学金は「全額支給のフルライド(full ride)」と「一部支給のパーシャル(partial)」に大別される。そして、NCAA D1以外では全額支給は滅多に無い。
基本情報
高い大学費用
アメリカの大学費用は高い。しかも、費用は年々増加している。入学金、授業料、寮費(room&board)が掛かるからだ。四年制大学は「州内公立大学: 約$2.5万/年」「州外大学/私立大学: 平均$4万/年」が必要となる。
奨学金と学資ローン
北米では「返済不要給付金=奨学金」「貸与型給付金=学資ローン」とされている。つまり、日本の要返済の奨学金は厳密には学資ローンである。実際、アメリカでは4470万人が学資ローンを抱えながらの暮らしを強いられている。そのため、高額な大学費用は社会問題になっている。奨学金はファイナンシャルエイド(Financial Aid)とも呼ばれる。
スポーツ奨学金
フルライド(全額支給)
フルライドは全額支給のスポーツ奨学金だ。
パーシャル(部分支給)
一方、パーシャルは部分支給のスポーツ奨学金だ。NCAA D1のメジャー競技以外のスポーツ奨学金はほとんどがパーシャルとなっている。一部支給の場合、支給額や割り当て人数はコーチの判断に委ねられている。コーチ達はスポーツ奨学金予算を自身の判断で「総額$4万→スターター5名に$5千/残り$1.5万→$1500×10名」の様に分配できる。無論、奨学金の金額はリクルート時の交渉材料になっている。
スポーツ奨学金受給資格
学生アスリートはNCAAの学力基準を満たした場合のみスポーツ奨学金を受取れる。ノンクオリファーはNCAAのルールでスポーツ奨学金を受け取れない。また、ほとんどのレッドシャツも奨学金を受け取っていない。例えば、学生アスリートは怪我で長期離脱になった場合に奨学金を奪われる。
保証無し
スポーツ奨学金は保障されていない。奨学金は1年更新が基本だ。そのため、翌シーズンに奨学金を貰えない可能性もある。実際、毎年、多くの選手が翌シーズンの奨学金枠漏れによって他大学への編入を決める。一方、2022年、NCAAはスポーツ奨学金起因の編入の状況を鑑みて「編入生は編入先で卒業/選手資格終了までスポーツ奨学金を保障される」ルールを新設した。

超スポーツ強豪校のスポーツ奨学金は一生涯保証の場合もある。つまり、学生アスリートは大学卒業前にプロに転向しても引退後に奨学金で大学に通って卒業を目指せる。
主な大学体育協会の比較
支給額 | 最大奨学生数 | |
NCAA D1 | 全額 | 男子バスケ部13名 女子バスケ部15名 |
NCAA D2 | 一部 | 男女バスケ部各10名 |
NCAA D3 | 無し | 無し |
NAIA | 一部 | 男女バスケ部11名 |
NJCAA D1 | 一部 | 男女バスケ部15名 |
NJCAA D2 | 一部 | 男女バスケ部15名 |
NJCAA D3 | 無し | 無し |
NCAA
NCAA D1の奨学金はフルライドだ。NCAA D2の奨学金はパーシャルがほとんどである。NCAA D3はスポーツ奨学金は一切無い。NCAA D1のアイビー・リーグはスポーツ奨学金を禁止している。
NAIA: NCAAとは別の大学体育協会
NAIAにもスポーツ奨学金がある。支給額はほとんどパーシャルだ。
NJCAA
NJCAA(National Junior College Athletic Association)もスポーツ奨学金を支給している。NJCAAは全米最大の短期大学の体育協会だ。支給額はほとんどがパーティアルだ。極稀にフルライドの選手もいる。一方、短大は授業料や入学金が四年制大学に比べて安い。しかも、多くは自宅から通学可能範囲の学校に通う。総費用は州外民でも$1.5万/年程度だ。
CCCAA
CCCAAは学生のスポーツ奨学金の受け取りを禁止している。CCCAA(California Community College Athletic Association)はカリフォルニア州の短大が所属している大学体育協会だ。田渡凌選手のオローニ短大やネットフリックスの「ラスト・チャンス(バスケ編)」のイーストロサンゼルス短大が所属している。
NIL
NIL以後
2021年夏、学生アスリート達は自身のNILのマネタイズが可能になった。NILは知名度(Name)、イメージ(Image)、好感度(Likeness)の頭文字だ。一言で言えば、選手達はインフルエンサー業等で金を稼げるようになった。そして、現在、強豪校の人気選手は$1M以上を稼いでいる。
NIL以前
一方、実はNIL以前は全額支給学生でも貧乏線以下の暮らしを強いられていた。NCAAとNCAA加盟校が「学生に大学生活費用以上の金額を支払わない」で合意していたためだ。例えば、その他の奨学金の受け取りも不可能だった。昼食を奢ってもらうことや誕生日プレゼントもアウトだ。実際、NCAAは些細な援助で選手やチームを罰してきた。

その他の奨学金
学術奨学金
各大学は学術奨学金を用意している。実際、スポーツ奨学金と学術奨学金の両方を受け取っている学生もいる。NAIAや短大では名目上の学術奨学金や貧困家庭援助(Need-based)が実質的にスポーツ奨学金として運用されている場合もある。
低所得者向け奨学金
アメリカには低所得者向けの奨学金(Need based)が存在する。最も有名なのが政府補助のペル・グラント(Pell Grant)だ。支給額は家庭の総所得等で決まる。
米国の大学への留学方法
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米国の大学への進学は一般的に「エッセイ(自己PR文)」「高校の成績(GPA)」「テストスコア(TOEFL/SAT/ACT等)」「推薦状」「銀行口座の残高証明書」が求められる。エッセイは「高校生活で何を頑張ってきたか」「大学で何を学びたいか」「将来の夢」等の自己アピール文である。高校成績は日本の高校の10段階評価をGPAに換算する。テストスコアは英語力の証明としてよく求められる。時に推薦状も必要だ。一方、大半の日本の高校教員は米国の大学の正規入学の方法を知らないだろう。実際、俺の場合(公立高校→米国四年制大学卒業)も「提出物: 高校の担任教諭が留学エージェントのサンプルを参考に作成」「エッセイ/テスト/面接: 留学エージェントの対策講座」「奨学金獲得(合計500万円程度): 留学エージェントのコネ」でやり遂げた。詰まる所、留学は留学エージェントが必須だ。相談だけでも思いもよらない案の教示で価値はある。

実は多くの留学エージェントは東南アジアの語学学校しか取り扱っていない。そんな中、上記の通り、留学情報館は多様なパターンの留学に対応している。最近は「短大→名門大学編入」や「海外出稼ぎ」等のサポートもある。留学先も北米-オセアニア-欧州等様々だ。そして、カウンセリングは無料だ。
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参考
Average Cost of College & Tuition(educationdata.org)
Federal Pell Grants(studentaid.org)
教育大国アメリカはローン地獄に悩んでいる(toyokeizai.net)
Scholarship Limits 2020-21(scholarshipstats.com)
Division II Athletic Scholarships(therecruitingcode.com)
NAIA Athletic Scholarships(therecruitingcode.com)
Junior College Athletic Scholarships(therecruitingcode.com)
Divisional Structure(njcaa.org)
CCCAA Recruiting Rules(cccaasports.org)
5 Myths About Athletic Scholarships(usnews.com)
THE PRICE OF POVERTY IN BIG TIME COLLEGE SPORTS(ncpanow.org)
Study College Athletes Worth Six Figures Live Below Federal Poverty Line(drexel.edu)
Op-Ed: How to take the scandal out of big-time college football and basketball(latimes.com)
Division I board adopts changes to transfer rules(ncaa.org)