シーズン開幕前
夏休み(5月上旬~8月中旬)
5月~8月中旬、アメリカの大学では夏休みに突入する。多くの一般学生達が帰省する中、学生アスリート達はキャンパスに残る。新1年生や他大学からの編入生もキャンパスに到着する。一方、9月下旬のチーム練習解禁日まではコーチはチームや選手を指導できない。故に、夏休み中、選手達は学生スタッフと共にワークアウトやドリルで個人練習に励む。また、各チームは4年に1度だけチーム旅行を許可されている。チームトリップの場合、コーチは選手を指導できる。多くのチームは2週間程ヨーロッパなどを訪れて観光や地元のチームと試合を行う。
チーム練習解禁(10月上旬)
8月下旬、新学期(秋学期)がスタートする。キャンパス周辺は夏休み期間のガラガラ状態から一気に活気づく。そして、10月上旬、チーム練習が解禁となる。ミッドナイトマッドネスは日付変更直後の深夜0時にスタートする初のチーム練習だ。ミッドナイトマッドネスは真面目な練習よりも新チームの披露会に近い。内容は盛大な部員紹介、ダンクコンテスト、紅白戦といった感じだ。そのため、最近ではミッドナイトマッドネスは解禁日の夕方や夜にファンの前で行われることが多い。
プレシーズン(11月上旬)
その後、11月上旬にプレシーズンが始まる。各大学は無観客のスクリメージやエキシビジョンゲームを1~3試合程度を行う。対戦相手は近所の大学であることが多い。開幕前ランキング1位校が近所のNCAA D2校やNAIA校と試合をしたりもする。
ノンカンファレンスシーズン(11月~12月末)
基本情報
- 所属カンファレンス以外の大学と対戦する期間
- 11月中旬~12月下旬
- 12試合前後
- 注目は休暇中の大会
NCAAのシーズンはノンカンファレンスシーズンから始まる。ノンカンファレンスシーズンは基本的には所属カンファレンス以外の大学と対戦する期間だ。ノンカンファレンスシーズン中、各校は他のディビジョンや他の大学体育協会所属のチームとの試合を組むことができる。つまり、NCAAのD2やD3校、NAIA校とのマッチメイクも可能だ。NCAA D1校でもローメジャー校はしばしば近所の下位ディビジョン校と対戦している。
アニュアルイベント(シューケース/ホリデートーナメント)
- フォート・メイヤーズ・チップオフ
- マウイ・インビテーショナル
- エンパイア・クラシック
- チャンピオンズ・クラシック
- ジミー・V・クラシック
- NIT・チップオフ
- オーランド・インビテーショナル
ノンカンファレンスシーズンの注目はアニュアルイベント(Annual Event)だ。アニュアルイベントは主に11月下旬の感謝祭と12月のクリスマス休暇中にリゾート地で行われる招待制の大会である。規模、レベル、場所、期間は「ローメジャー4校/1日@田舎~強豪10校以上/数週間@リゾート地」まで様々だ。例えば、2018年にゴンザガ大学がデューク大学に勝って優勝したマウイ・インビテーショナルはまさにアニュアルイベントの代表的存在である。一方、アニュアルイベントの勝敗はNCAAトーナメント出場にはほとんど関係無い。専ら魅力は強豪大学の試合が見られるだけだ。

カンファレンスシーズン(12月下旬~3月上旬)
- カンファレンス内のリーグ戦
- 18試合前後
カンファレンスシーズンはカンファレンス内でリーグ戦を行う期間だ。各校は各々が所属するカンファレンス内のライバル校と試合を行う。スケジュールはカンファレンスによって異なる。所属校数の関係で「A校→ホーム&アウェイ、B校→ホーム、C校→アウェイ、D校→対戦無し」のように変則的になる場合もある。また、ノンカンファレンスシーズン中に同じカンファレンス校が対戦した場合、勝敗はカンファレンスゲームとしてカウントされる。
ポストシーズン(3月上旬~4月上旬)
基本情報
- カンファレンストーナメント: 各カンファレンスのNCAAトーナメント出場校を決める大会
- ポストシーズントーナメント
NCAAトーナメント
NIT
その他
カンファレンスシーズン終了後、ポストシーズンが始まる。ポストシーズンは「カンファレンストーナメント」と「ポストシーズントーナメント」がある。カンファレンストーナメントは各カンファレンスのNCAAトーナメント出場校を決める大会だ。一方、ポストシーズントーナメントはカンファレンストーナメント終了後に行われる招待制の大会を指す。ポストシーズントーナメントは実はNCAAトーナメント以外にも「NIT(National Invitational Tournament)」「CBI」「CIT」等が存在する。
カンファレンストーナメント(2月下旬~3月上旬)
- 目的: 各カンファレンスのNCAAトーナメント出場校の決定
- 時期: 2月下旬~3月中旬
- 形式: 一発勝負のトーナメント
- 会場: 中立地/上位シード校
カンファレンス内のリーグ戦終了後、各カンファレンスではカンファレンストーナメント(チャンピオンシップ)が行われる。カンファレンストーナメントはNCAAトーナメント出場校を決める一発勝負の大会だ。各カンファレンストーナメント優勝校はNCAAトーナメント出場権を獲得できる。一方、「ブラケット(トーナメント表)のシード」「開催時期&期間」「会場」はカンファレンスによってまばらだ。そして、3月の第2週中には全32のカンファレンストーナメントが終了してNCAAトーナメント出場校32校(全68校)が決まる。
セレクションサンデー(3月中旬)
全カンファレンストーナメント終了後の3月中旬の日曜日、セレクションサンデーが行われる。セレクションサンデーはNCAAトーナメントのトーナメント表(ブラケット)の発表日だ。セレクションサンデーでは「カンファレンストーナメント優勝32校」+「選考委員会推薦36校(At-Large Bid)」がテレビで順に発表される。各チームは大学のホールやミーティングルームに集まって行方を見守るのが恒例だ。その後、チームは「NCAAトーナメント出場」「別のポストシーズントーナメント出場」「解散」に分かれる。
NCAAトーナメント(3月中旬~4月上旬)

その他のポストシーズントーナメント(3月中~下旬)
出場校 | 会場 | 特徴 | |
NIT | 32校 | キャンパス&MSG | FIBAルール採用 |
CBI | 16校 | キャンパス | 準決勝での対戦カード組み直し 決勝戦の2戦先勝形式 |
CIT | 32校 | キャンパス | 勝率5割以上のミッドメジャー限定 |
ポストシーズントーナメントはNCAAトーナメント以外にもいくつか存在する。NITはMSG開催のために1950年代頃まではNCAAトーナメントよりも格式高いとみなされていた由緒正しい大会だ。初開催もNCAAトーナメントよりも1年早い。実際、初有色人種NBA選手の故ワッツ・ミサカ氏のユタ大学はNCAAトーナメントを断ってNITに出場した。CBIとCITは実質的にはミッドメジャー校のための大会になっている。
コロナ禍のシーズン
2019-20シーズン
2019-20、NCAAトーナメントが中止になった。
2020-21シーズン
2020-21は11月25日に約3週間の後ろ倒しで開催された。そのため、ノンカンファレンスシーズンはNCAAは3試合程度を推奨し、一部のカンファレンスはノンカンファレンスシーズンの開催を中止し、アイビーリーグと一部の大学は同期間中にシーズン続行を断念した。そして、最も大変だったのが試合のキャンセルや延期の続出だ。NCAA、大学、州はコロナ陽性者が出た場合の一定期間の活動休止を定めていた。そのため、数え切れない程多くの試合がキャンセルや延期に追い込まれた。一方、NCAAトーナメントは「NCAA D1→インディアナ州インディアナポリス」「NCAA D2→インディアナ州エバンスビル」を半バブル状態にして無事行われた。NCAA D3は前年度に引き続きNCAAトーナメントの開催を見送った。

2021-22シーズン
2021-22シーズンはほぼ例年通りだった。
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NCAA基礎講座
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バスケ留学解説

NCAAの視聴方法

参考
What the Ivy League’s canceling its seasons means for college basketball, other sports(espn.com)
NCAA Relocating 2021 Division I Men’s Basketball Championship Sites(ncaa.org)
