うい。
「全米中のバスケを訪れる」が目標、乗り鉄的現地観戦愛好家のBall Otaku Bros(@b_o_bros)だ。
今回はミシガンステイト大学を紹介する。
ミシガンステイト大学
基本情報
名称: Michigan State University
愛称: Spartans/MSU
所属: Big 10 Conference
19-20: 22勝9敗
18-19: 32勝7敗ファイナル4
17-18: 30勝5敗NCAAトーナメント2回戦
近年の話: トム・イゾーの再評価
近年、現HCトム・イゾー(Tom Izzo)が再評価されている。詳しくは後述するが、イゾーは1995年からスパルタンズの指揮を執り、これまでにファイナル4に8回(内1回優勝)に導いた超々々闘将だ。
一方、2012年のドレイモンド・グリーンが出るまで2006年を最後にNBAドラフトに引っ掛かる選手がしばらく出てこなかった。と言うのも、イゾー自体はワン&ダン選手を好ましく思っておらず、逆にリクルート達もケンタッキー大学、デューク大学、ノースカロライナ大学といったブルーブラッドに惹かれてしまっていたからだ。
しかし、ゴールデンステイト・ウォリアーズの大躍進とその核となっている教え子のグリーンが、しかもブルーカラースタイルで、NBAのスターダムに駆け上がったことでリクルート達のイゾーの評価が変わった。最たる例がジェイレン・ジャクソンJrとマイルズ・ブリッジスだ。彼らのようなアーリーエントリーが濃厚なリクルートもイゾーの下に来るようになった。
注目選手
アーロン・ヘンリー(3年/#00/198cm/ウィング)
マリーク・ホール(2年/#25/201cm/ウィング)
AJ・ホガード(1年/#11/191cm/ガード)
ジョシュア・ランフォード(RS4年/#1/196cm/ガード)
ロケット・ワッツ(2年/#2/188cm/ガード):
現在、スパルタンズのロスターはガードとウィングが非常に豊富だ。個人的にはディフェンスの要のアーロン・ヘンリー(Aaron Henry)とマリーク・ホール(Malik Hall)が熱い。両者共にNBAドラフトではスティールになる可能性が高い。その他、フレッシュマンのAJ・ホガード(AJ Hoggard)、元スーパー高校生のジョシュア・ランフォード、2018-19にスパイア高校(Spire Institute)でラメロ・ボールとチームメイトだったロケット・ワッツ(Rocket Watts)がいる。
リクルート: イモニ・ベイツ(Class of 2021)
イモニ・ベイツ(Emoni Bates)は2022年高卒組のトップリクルートの1人だ。2019-20、ベイツはまだ高校2年生にも関わらずゲータレードの年間最優秀選手に選ばれ、2020年6月にミシガン・ステイト大学へコミットしたことを早々に発表した。ベイツはこのまま行けば2022-23から、学年変更すれば2021-22からイゾーの下でプレーすることになる。
ビッグ・10・カンファレンス
チーム史
フォーディー・アンダーソン時代(1954-65)
- ファイナル4(1959)
- エリート8(1957)
1954年、ミシガンステイト大学はブラッドリー大学をNCAAトーナメントとNITの両方で決勝に導いたフォーディー・アンダーソン(Forddy Anderson)をHCに招聘した。1957年、大学の期待に応えたアンダーソンはスパルタンズを同大史上初のNCAAトーナメント出場に導き、1959年、NCAAトーナメントの舞台に立った際は第4位の成績を残した。
ジュド・ヒースコート時代(1976-95): 暗黒の20年間からマジック・ジョンソン加入で一気に優勝へ
- NCAAトーナメント優勝(1978)
- エリート8(1977)
最初の大仕事(1977-79)
しかし、その後、上手くは行かなかった。そうこうしている内に約20年もの年月が過ぎ去ってしまった。モンタナ大学で成功を収めていたジュド・ヒースコートを採用した。
転機が訪れたのは地元のスーパー高校生アービン”マジック”ジョンソンのリクルートに成功したことだった。
1977-78、マジックの加入したスパルタンズはあれよあれよと勝ち上がりエリート8へと進出し、翌1978-79、さらに成長したマジックの個人の力であっさりとNCAAトーナメント制覇を成し遂げた。
コート外のマジック(1979-95)
マジックはNBA入り後はスタープレーヤーが矢継ぎ早に登場した。ルーキー時に平均22.4点を挙げて引退後にインターネット詐欺で捕まったジェイ・ビンセント(1977-81)、44歳でNBAのコートに立った元オールスターのケビン・ウィリス(1981-84)、実は大学時代は素行不良だったスコット・スカイルズ(1982-86)、ウィリスと2003年にNBAチャンピオンになったスティーブ・スミス(1987-91)などだ。
しかし、NCAAトーナメントでの結果はスウィート16に2度進出しただけと物足りなさは否めなかった。1995年、ショーン・リスパート(1990-95)とエリック・スノウ(1990-95)をNBAに送り出してヒースコートは引退した。
トム・イゾー時代(1995-): 本当の黄金期の到来!!
フリントストーンズ(1995-2001)
- NCAAトーナメント優勝(2000)
- ファイナル4×2(1999、2001)
1995年、現HCトム・イゾーが11年間の長い下積み期間を経て遂にHCに昇進した。イゾーはミシガン州フリント出身の選手達を集めたフリントストーンズ(Flintstones)を結成した。
フリントストーンズ(1998-99)
モーリス・パターソン
アントニオ・スミス
チャーリー・ベル
マティーン・クリーブス
1998-99、フリントストーンズはファイナル4進出を果たした。
1999-2000、スミスが卒業を迎えてしまったものの、フリントストーンズはそのままチームの愛称として使用された。
フリントストーンズ2.0(1999-00)
アントニオ・スミス out
ジェイソン・リチャードソン in
オリジナルメンバー4名にジェイソン・リチャードソン等が加わったフリントストーンズ2.0は、シーズン中盤にライト・ステイト大学に敗れる等のハプニングに見舞われるも、終わってみればあっさりとNCAAトーナメント制覇を成し遂げてしまった。
フリントストーンズのメンバーと交代する形で2000年高卒組トッププロスペクトのザック・ランドルフとマーカス・テイラーが加入した。
フリントストーンズ3.0(2000-01)
マティーン・クリーブス out
モーリス・パターンソン out
ザック・ランドルフ in
マーカス・テイラー in
2000-01、惜しくも2連覇とはいかなかったが、ランドルフ、リチャードソン、テイラー、最後のオリジナルメンバーのベルの活躍で3年連続のファイナル4進出を果たした。
必要なのはNBAプロスペクトでは無い(2001-06)
- ファイナル4(2005)
フリントストーンズの躍進以降、トップリクルート達がミシガンステイト大学に入学するようになった。2006年NBAドラフト組のシャノン・ブラウン、モーリス・エイガ―、ポール・デイビス、2001年のゲータレード年間最優秀選手(高校生No.1プレーヤーの称号)に選ばれたケルビン・トーバート(Kelvin Torbert)などである。
しかし、試合には勝てなかった。一応、2005年にファイナル4に進出してはいるが、ビッグ10トーナメントでは1回戦敗退、最終成績は22勝6敗でシード順位5位での本戦出場だったため、この結果は実力というよりは運が味方した物にほかならない。
その結果、イゾーは自身の哲学に沿った選手の獲得にリクルートの路線を変更した。
No NBA期(2006-12)
- NCAAトーナメント準優勝(2009)
- ファイナル4(2010)
- スウィート16(2008、12)
2006~12年、ミシガンステイト大学からは1人もNBAには行っていない。
しかし、スパルタンズは2009年にはNCAAトーナメント決勝、翌2010年にもファイナル4へと進出し、2012年には第1シード獲得した。
その後、2012年にドレイモンド・グリーンがNBA入りを果たしてNBA選手の干ばつは終わった。
同じ轍は踏まない(2012-)
- ファイナル4×2(2015、19)
グリーンのNBAでの躍進によって再びトッププロスペクト達がイゾーの下を訪れるようになったが、イゾーは自分のスタイルに合った選手を選りすぐって獲得するようになった。その結果、ゲイリー・ハリスやマイルズ・ブリッジスといった選手をNBAに輩出しつつ、NCAAトーナメントでも結果を残せるようになった。
現地観戦
まとめ
トム・イゾーが現役でいる限り、ミシガン・ステイト大学はチェックすべきチームであり続けるはずだ。
【7日目】アイオワ大@ミシガンステイト大: ガルーザとウィンストンのオールアメリカン対決(もちろん他にも素晴らしい選手はいるし、チーム単位で考えても好カードだが)…は期待以上に引き締まった良い試合だった。#現地観戦兄弟 pic.twitter.com/g3xhxGOz7v
— B.O. BROS (@b_o_bros) February 26, 2020
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五大湖エリア

五大湖エリア(北東部)
五大湖エリアは五大湖周辺を括ったエリアだ。北にミネソタエリア、東にニューイングランドエリアとボスウォッシュエリア、南にオハイオバレーエリア、西にカンザスシティエリアがある。
トロント(カナダ)
トロントはカナダ最大の都市だ。NBAトロント・ラプターズとGリーグチームのラプターズ905、そしてカナダ国内リーグのチームがある。一方、多民族都市で市内では様々な文化体験ができる。ナイアガラ滝も近い。
バッファロー(ニューヨーク州)
バッファローはカナダとの国境の街だ。アメリカからトロントへ向かう通過点にあるためかなり行きやすい。NCAAトーナメント常連校になりつつあるバッファロー大学を含めて合計3校のNCAA D1大学がある。
ピッツバーグ(ペンシルベニア州)
ピッツバーグは鉄鋼の町として知られているが、同時に学術都市でもある。NCAA D1はピッツバーグ大学、デュケイン大学、ロバート・モリス大学、NCAA D3は最初の大学の試合を行ったとされるジェネバカレッジがキャンパスを構えている。
ウェストバージニア大学(ウェストバージニア州)
デトロイト(ミシガン州)
デトロイトは自動車産業で酸いも甘いも経験した街だ。近年はかつての賑わいを取り戻しつつある。NBAデトロイト・ピストンズが郊外からダウンタウンにホームアリーナを移転したのはその最たる例だ。
ミシガン大学(ミシガン州)
ミシガン大学はデトロイト・ウェイン・カウンティ国際空港から長距離バスで45分程のアナーバーにある。
ミシガンステイト大学(ミシガン州)
ミシガンステイト大学はデトロイト・ウェイン・カウンティ国際空港から長距離バスで1時間半程のイーストランシングにある。
クリーブランド(オハイオ州)
クリーブランドはレブロン・ジェームスを産んだ労働者の町だ。NBAクリーブランド・キャバリアーズはそんな街の唯一の希望だったレブロンが去って以降一気に高額チームから格安チームに転落した。その他、クリーブランドステイト大学等ミッドメジャー4校がキャンパスを構えている。
オハイオステイト大学(オハイオ州)
オハイオステイト大学は全米最大規模の超マンモス大学だ。キャンパスはオハイオ州のど真ん中の州都コロンバスにある。
ニューキャッスル(インディアナ州)
ニューキャッスルはインディアナポリスとデイトンの中間に位置する田舎町だ。インディアナ・バスケットボール殿堂とニューキャッスル高校がある。
インディアナポリス(インディアナ州)
インディアナポリスは五大湖から離れた内陸部にある地方都市だ。エリアの中で最も雰囲気が良い。NBAインディア・ペイサーズとブラッド・スティーブンス時代に2年連続でNCAAトーナメント準優勝を果たしたバトラー大学がある。
シカゴ(イリノイ州)
シカゴはアメリカ北東部と中西部のターミナルとして栄えた大都市だ。NBAはシカゴ・ブルズ、NCAAはデポール大学、ノースウェスタン大学、ロヨラ大学(シカゴ)など古い歴史を持つチームがキャンパスを構えている。
ミルウォーキー(ウィスコンシン州)
ミルウォーキ-はシカゴと一緒に周っておきたい町だ。NBAはミルウォーキー・バックス、NCAA D1はドウェイン・ウェイドの母校マーケット大学とNBAプロスペクトのパトリック・ボルドウィンJrの進学先候補のウィスコンシン大学ミルウォーキー校がある。
ウィスコンシン大学(ウィスコンシン州)
強豪ウィスコンシン大学はミルウォーキーから長距離バスで片道1、2時間程のマディソンという町にある。
カレッジフープスの記事
NCAA基礎講座の使い方
ステップ1: カレッジフープス全体(大学体育協会)を学ぶ
↓
ステップ2: NCAA(D1、D2、D3)を学ぶ
↓
ステップ3: NCAA D1のスケジュールを学ぶ
↓
ステップ4: NCAA D1のカンファレンスを学ぶ
↓
ステップ5: エリジビリティを学ぶ








参考
イーストランシングにおける平均的な気候(jp.wetherspark.com)
Tom Izzo: Next 4 weeks ‘critical’ for Joshua Langford’s return(247sports.com)
Emoni Bates, 2022 top basketball recruit, commits to Michigan State(espn.com)
Rocket Watts: 5 things to know about the Michigan State basketball guard(lansingstatejournal.com)
Michigan State Spartans School History(sports-reference.com)
NBA & ABA Players Who Played For Michigan State(basketball-reference.com)
Former Michigan State basketball coach Jud Heathcote dies at age 90(freep.com)