ウィチタステイト大学
基本情報
名称: Wichita State University
愛称: WSU/Shockers
所属: American Athletic Conference
2020-21: 16勝6敗NCAAトーナメント出場
近年の話: 闘将にスキャンダル発覚!!
- タイソン・エティエンヌ(Tyson Etienne)
AACの最優秀選手賞(2020-21) - 新HCアイザック・ブラウンの好発進(2020-21)
- 闘将グレッグ・マーシャルにスキャンダル発覚!!(2020)
2020-21、ウィチタステイト大学は新章に突入した。2020年11月、ウィチタステイト大学はHCグレッグ・マーシャル(Gregg Marshall)との契約を解消した。原因はパワハラだ。そのため、2020-21は急遽アイザック・ブラウン(Isaac Brown)が代理HCを務めることとなったのだが、チームをアメリカン・アスレティック・カンファレンスのレギュラーシーズン1位とNCAAトーナメント出場の好成績に導いたため、シーズン途中に正式HCとなった。
アメリカン・アスレティック・カンファレンス
- 名称: American Athletic Conference
- 愛称: AMERICAN/AAC
- 設立: 1979年
- 所属校: 12校
- 放送: ESPN/CBS
- HP: http://theamerican.org/
所属校(大まかな所在地) |
テンプル大学(フィラデルフィア)は1938年にNITを制覇して初の全米No.1に輝いた古豪だ。未だに歴代勝利数はトップ10付近にいる。 |
イーストカロライナ大学(ノースカロライナ州)は2020年2巡目39位のイライジャ・ヒューズが1年だけプレーしていた。 |
ノースカロライナ大学シャーロット校*はセドリック・マックスウェルの母校だ。 |
サウスフロリダ大学(タンパ)はチャッキー・アトキンスの母校だ。 |
フロリダ・アトランティック大学(マイアミ)*は2022-23にファイナル4進出を果たした。 |
アラバマ大学バーミンガム校は1980年代にレジェンドコーチのジーン・バートウがHCに就任して一時代を築き上げた。 |
メンフィス大学は現在ペニー・ハーダウェイがHCを務めている。出身者にはデリック・ローズやタイリーク・エバンスなどがいる。 |
ウィチタステイト大学は2014年にレギュラーシーズン無敗を達成した。当時の主力にはフレッド・バンブリートがいる。 |
タルサ大学はノーラン・リチャードソン、トゥビー・スミス、ビル・セルフの3人がNCAAトーナメント制覇以前にHCを務めていた。 |
テュレーン大学(ニューオーリンズ) は中国人のケビン・ジャンがプレーしていた。 |
SMU(ダラス)は名将ラリー・ブラウン時代に瞬間的に強かった。 |
ノーステキサス大学(ダラス)*は新進気鋭のHCエリック・マキャスランドがチームを率いている。 |
ライス大学(テキサス州ヒューストン)*は1970年を最後にNCAAトーナメントに出場していない。現HCはジェームス・ハーデンの高校と大学時代の恩師スコット・ピラだ。 |
テキサス大学サンアントニオ校* |
アメリカン・アスレティック・カンファレンスは南部の実力校で組織されている。近年は弱体化が著しい。2023年、同カンファレンスは「ヒューストン大学」「UCF」「シンシナティ大学」のビッグ・12・カンファレンス移籍でミッドメジャーに成り下がった。そして、実はルーツは元祖ビッグ・イースト・カンファレンスだ。現カンファレンス名は2013年に創設メンバー校達の現ビッグ・イースト・カンファレンス創設に伴って改められた。
チーム史
ラルフ・ミラー時代(1951~64): 正統派がHCに就任!!
- エリート8(1964)
- NIT出場×3(1954、62、63)
- AP最高4位(1963-64)
正統派HC就任!!
1951年、ラルフ・ミラー(Ralph Miller)がHCに就任した。ミラーはカンザス大学でジェームス・ネイスミス博士とコーチングの父フォグ・アレンから直接指導を受けた正統派である。そして、1953-54、ウィチタステイト大学は最高AP11位と評価される程に至り、当時NCAAトーナメントと同等の評価を受けていたNIT出場を果たした。
厚い壁
しかし、NCAAトーナメント出場の壁は厚かった。当時、各カンファレンスの優勝校しかNCAAトーナメントに出場することができなかったのだが、ミズリー・バレー・カンファレンス(MVC)には1956~60年にオスカー・ロバートソンを擁し、1960~63年に3年連続でNCAAトーナメント決勝に進出したシンシナティ大学がいたのだ。
悲願のNCAAトーナメント出場(1963-64)
その結果、NCAAトーナメント出場を果たしたのは就任後10年以上経過した1964年だった。1963-64、3年生のデイブ・ストールワースが平均26.5&10リバウンドの活躍でチームをMVC制覇に導き、ウィチタステイト大学は悲願のNCAAトーナメント出場を果たした。
ジーン・スミソン時代(1978-86): 遂にカンザス大学と肩を並べるまでに
- エリート8(1981)
- トップ10指名選手
クリフ・リビングストン
アントニー・カー
ゼイビア・マクダニエル
1970年代後半、コーチの交代が繰り返される中、クリフ・リビングストン(1979-82)、アントワン・カー(1979-83)、ゼイビア・マクダニエル(1981-85)の3人のトップ10指名選手が揃った。
1980-81、ビッグ3の初陣はぼちぼちだった。チームはシーズン中盤に10連勝を記録し、一時はAP通信のトップ25位以内にランクインしていたが、終盤の負けが込んだことで最終的にはランク外に終わった。
しかし、ウィチタステイト大学は第6シードからトーナメントを勝ち上がった。チームは2回戦で中西部のライバルであるアイオワ大学をアップセットし、さらにはスウィート16でカンザス大学から歴史的な大勝利を挙げ、エリート8進出を果たした。
その後、この試合は会場がニューオーリンズだったことから史実になぞらえてニューオーリンズの戦い(The Battle of New Orleans)と名付けられた。実はカンザス大学戦の勝利は1908年の初回から数えて73年間で僅か5回目のことだったのだ。つまり、両校はそれまで実力差があまりにも大きかった。だから、両校は同州内にいながらほとんど試合が組まれていなかったのだが、この勝利がきっかけとなって両校は1983-84からその後4年間毎年対戦する約束が結ばれることになった。
しかし、一方で1970年代のリクルートの不正が次々と発覚した。その結果、NCAAはウィチタステイト大学に対して1982年と1983年のポストシーズン出場禁止を言い渡し、ビッグ3揃ってのトーナメントは1981年限りとなってしまった。
マーク・タージョン時代(2000-07): 暗黒期脱出
- NCAAトーナメント出場(2005年)
その後、ショッカーズは長い暗黒期に突入した。1990年代はNCAAトーナメントに戻ることはおろか、たった勝ち越しで終えることができたすら僅か1シーズンだけだった。そんなチームの再興を任されたのが現メリーランド大学HCのマーク・タージョン(Mark Turgeon)だった。タージョンは負け越しが続くショッカーズを3度のNITと約20年振りのNCAAトーナメントへと導いた。
グレッグ・マーシャル時代(2007-20): 一躍時の人に
- ファイナル4(2013年)
- レギュラーシーズン無敗(2014年)
- スウィート16(2015)
嵐の前の静けさ(2007-12)
2007年、グレッグ・マーシャルがHCに就任した。マーシャルは無名のウィンスロップ大学をNCAAトーナメント常連校に押し上げた若き敏腕だった。ウィンスロップ大学はそれまでにNCAAトーナメントに出場したことがなかったが、マーシャルの就任1年目にNCAAトーナメントに初出場し、その後全9シーズンで7回ものNCAAトーナメント出場を果たした。そして、ウィチタステイト大学は程なくしてMVCでは敵なしの位置にまで登り詰めた。
ショッカーズ旋風(2012-16)
2012-13、クレアンソニー・アーリーを中心としたショッカーズはNCAAトーナメント2回戦でケリー・オリニク率いる第1シードのゴンザガ大学をアップセットし、勢いそのままにファイナル4進出を果たした。翌2013-14、フレッド・バンフリートとロン・ベイカーが成長したショッカーズは、結果的には2回戦で早くも姿を消すことになったが、レギュラーシーズンとカンファレンストーナメントの合計34勝0敗のカレッジ史に残るシンデレラランで一大旋風を巻き起こした。
ハイメジャー校に(2017-20)
- ランドリー・シャメット(2016-18): 2018年1巡目26位
- オースティン・リーブス(2016-18): NBA選手
- シャキール・モリス(2014-18): Bリーガー
- コナー・フランカンプ(2014‐18): 元スター高校生
2017-18、ウィチタステイト大学はアメリカン・アスレティック・カンファレンスへ移籍して遂にハイメジャー校への仲間入りを果たし、ランドリー・シャメットやシャキール・モリスの活躍でAP最高3位とアメリカン内2位の成績を残してNCAAトーナメントに出場し、無事ハイメジャー移行を成功させた。
パワハラの発覚
- ヘイメ・エチェニケ(2018-20): NBA選手
- Alterique Gilbert(2020-21): 元スター高校生
しかし、翌2018-19は主力選手がNBAドラフト、転校、卒業によってごっそりと抜けたため成績は下降した。そして、2020年11月、マーシャルは数々のパワハラ行為が発覚して遂には解雇となった。両者はウィチタステイト大学が今後6年間でマーシャルに$7.75M(約9億円)を払うことで合意に至っている。
日本と所縁のある選手
ギャレット・スタッツ(名古屋等):合計137試合に出場した鉄人
ギャレット・スタツ(2008-12)は約6シーズン振りとなるNCAAトーナメント出場に貢献したビッグマンだ。スタツは1年次からローテーションの一角としてプレーし、毎年30試合以上、合計137試合に出場し、日本では2017年から島根、名古屋、群馬、大阪等でプレーしている。
カール・ホール(横浜等): ゴンザガ大学アップセットに貢献
カール・ホール(2011-13)は2013年のゴンザガ大学のアップセットとファイナル4進出に貢献したビッグマンだ。ホールは2013-14~2016-17のシーズン途中まで約4シーズンを兵庫、信州、横浜、八王子等でプレーしていた。そして、最大の特徴のゴーグルはグレッグ・マーシャルに強要されたことがきっかけで着用を始めた。
クレアンソニー・アーリー(八王子): 一大旋風時のエース
クレアンソニー・アーリー(2012-14)は2012-13のファイナル4と2013-14のミラクルランの両方でエースだった選手だ。その後、アンソニーは2014年のNBAドラフト2巡目34位でニューヨーク・ニックスに指名されて約2シーズンを過ごしたが、その後はGリーグ生活が続き、2018-19に八王子ビートレインズに加入した。
シャキール・モリス(京都等): ハイメジャーでも戦えることを証明
シャキール・モリス(2014-18)在学時、チームは毎年NCAAトーナメント出場を果たしていた。特に4年次(2017-18)にウィチタステイト大学はMVCから強豪が集うアメリカン・アスレティック・カンファレンスに移籍したのだが、モリスはランドリー・シャメット(NBA)と共にショッカーズをリードしてWSUがハイメジャーカンファレンスで戦えることを証明した。
現地観戦
ホームアリーナ
名称: Charles Koch Arena
住所: 1845 Fairmount St, Wichita, KS 67260
ウィチタ市のダウンタウンからCharles Koch Arenaへはローカルバスで行くことができる。が、UberやLyftを利用するのもアリだ。
チケット
ハイメジャー校は試合によってはチケットが売り切れる。あるいは、会場購入の場合、列に並ぶ必要が出る。そのため、チケットは事前のオンライン購入が無難だ。
グッズ
公式ストア(ブックストア/チームストア)
カレッジグッズは各大学キャンパス内のブックストア(カレッジストア)が最も品揃えが豊富だ。ブックストアは書店では無い。ブックストアはアパレルと日用品が売られている雑貨屋だ。場所は「大学名 bookstore」で検索で出てくる。
ファナティクス
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ファナティクス社は世界中のスポーツチームのグッズ販売の裏方だ。同社は世界の複数エリア向けに自社サイトを運営している。各サイトはそれぞれのエリアの人気スポーツリーグのグッズを販売している。値段や在庫も異なる。Lidsのみ実店舗もある。そして、北米系サイトは全NCAA D1校のグッズを取り扱っている。

例えば、ファナティクスでは大谷翔平選手(MLB)と八村塁選手(NBA)と角田裕毅(F1)のグッズのまとめ買いが可能だ。
NILグッズ
- 選手関連品
名前&番号入りジャージー/写真やイラスト入りTシャツ等 - 選手のプライベートブランド商品
- 選手のサインや実用品
NILグッズは公式の選手関連商品だ。2021年、NCAAは学生アスリートが自身のName-Image-Likenessを活用してのマネタイズを解禁した。現在、「選手名&番号入りジャージー」「選手のイラストや写真のTシャツ」等の販売が超メジャー校から徐々に始まっている。販路は各大学の実店舗やオンラインストア or サードパーティーマーケットプレイスとなっている。

まとめ
ウィチタステイト大: WSUはレギュラーシーズン無敗(13-14)を達成したことで一世を風靡した。その時の主力がロン・ベイカーとフレッド・バンブリートで、カレッジストアではベイカーのソックスが売られていた。ただ、「ベイカーに$20はだせねぇ」ってことで買いはしなかったが。 pic.twitter.com/wXZ1JHUNJ8
— Ball Otaku Bros (@BOIBROS) February 25, 2020
一時代を築いたグレッグ・マーシャル時代が終焉を告げた。今後、落ちぶれるのか、あるいは再び上昇するのか、には注目だ。
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ミッドウェストエリア
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ミネアポリス(ミネソタ州)
NBA: ミネソタ・ティンバーウルブス
NCAA D1(強豪): ミネソタ大学
NCAA D1(中堅): St.トーマス大学
高校: ミネハハアカデミー
その他
-NCAA D3ハムライン大学: 初の大学試合催行
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NCAA D1(中堅): ノースダコタ大学
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スプリングフィールド(イリノイ州)
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ミズーリ大学(コロンビア)
カンザスシティ(ミズーリ州)
NCAA D1(中堅): ミズーリ大学カンザスシティ校(UMKC)
その他:
-全米初の大学No.1決定戦開催地(NAIA前身)byジェームス・ネイスミス博士
-NAIA本部
-NAIAトーナメント開催地
-カレッジフープスの博物館
カンザス大学(カンザス州ローレンス)

カンザスステイト大学(マンハッタン)

ウィチタ(カンザス州)
NCAA D1(中堅): ウィチタステイト大学
高校: サンライズ・クリスチャン・アカデミー
NCAA基礎講座
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大学一覧

バスケ留学解説

NCAAの視聴方法



参考
Gregg Marshall under investigation by Wichita State for allegations of misconduct(theathletic.com)
Isaac Brown gets five-year deal to be men’s basketball coach at Wichita State(espn.com)
The rivalry that isn’t: Why Kansas and Wichita State have played only 14 basketball games(kansascity.com)
Wichita State Shockers School History(sports-reference.com)
Wichita State Players In The NBA(basketball.realgm.com)
Wichita State Hit by 3-Year Probation(news.google.com)
Chasing Cinderella, Wichita State: Shocking the World(youtube.com)
Reliving Wichita State’s shocker over No. 1 Gonzaga in the 2013 NCAA Tournament(theathletic.com)
Wichita State men’s basketball coach Gregg Marshall resigns after abuse investigation(espn.com)
Shocker legend Ron Baker breaks silence on abuse investigation into Gregg Marshall(kansas.com)
【お知らせ】ギャレット・スタツ選手 契約基本合意(evessa.com)
元NBA、異色のヴィーガンプレイヤーはなぜB2最下位の八王子に加入したのか?(nws.yahoo.jp)
カール・ホール選手 契約解除のお知らせ(trains.co.jp)
シャキール・モリス選手契約締結(新規)のお知らせ(trains.co.jp)