【NCAA】”マッチ”マッドネス: コロナ渦でカオス化するスケジュール

うい。


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俺達は「歴史」「文化」「ビジネス」「NBA以外」など他の奴らでは手が出せないトピックの紹介&解説をしている。

と言うことで、今回は2020-21のスケジュールのコロナによるカオス化についての紹介&解説だ。


ちなみに、2021年の年明け以降からカオス化は収まりつつある。現在はNCAA D1全体の10%程度(約30~40/350校)がチーム内の陽性者の出現で2週間程度の活動休止に追い込まれているが、NCAAトーナメントですらキャパシティの25%程度の観客の入場を許可する方針を出しており、ストレスフルな状況は落ち着いている。

概要

“マッチ”マッドネス

“マッチ”マッドネスとは2020-21のカオスぶりを俺達がマーチマッドネス(NCAAトーナメントの別称)にもじって名付けた造語だ。今季、カレッジバスケットボールは「コロナ観の違い」「各種ルール」「予算」によって開幕1ヵ月前でもほとんど決まらず、なお且つようやく決定した試合も陽性者の出現でキャンセルが相次いだため、結果的にいびつなスケジュールとストレスにまみれた異様な事態になった。

カオス化の要因

要因1: 開幕決定の遅れ

“マッチ”マッドネスの発端は開催決定の発表が遅かったことだ。


2020年9月18日、NCAAは今季のシーズン開催決定を発表した。通常、シーズンは11月上旬から始まる。つまり、開幕が約6週間前に決まったのだ。結果的に開幕日は11月25日に後ろ倒しとなったため、猶予は2カ月前以上あったが、それでも短期間には変わらなかった。


しかも、NCAAがシーズンの開催を検討している間に多くの試合がキャンセルになっていた。理由は州の移動規制やイベント禁止、大会運営側の判断、参加者の辞退等様々だ。一方、アイビー・リーグ、ペイトリオット・リーグ、パック-12・カンファレンスは独自に2021年1月までチームの活動休止を発表していた。


その結果、NCAA、カンファレンス、各大学、大会主催者等は短期間でイチからスケジュールを組み立てなければならない状況に陥ってしまった。

要因2: スケジュール調整の難航

しかし、スクジュール調整は難航を極めた。


最も根本的な理由はコロナ観の違いだ。それは開幕前のスケジュール調整でも浮き彫りになっていた。リベラルな東海岸と西海岸は開催に慎重な姿勢を見せる一方、保守的な南部と中西部は強行する姿勢を表し、両者が混同するカンファレンスは発表時期が遅れた。例えば、ビッグ・イースト・カンファレンスとPac-12は状況次第では中止も辞さないという構えだったが、SECとビッグ・12・カンファレンスは早々に全日程のスケジュールを発表し、ACCとB1Gは結果的に全日程を発表したものの発表自体は開幕直前だった。


さらに、各種のルールやガイドラインも難航の要因だった。最大の枠組みでは各州のガイドラインだ。各州は規制のレベルに差異はあれど基本的には「移動」と「集団の活動」を規制していた。だから、大学同士がこれまで通り自由に遠征して試合を行うことが困難になっていたのだ。その他、カンファレンスや大学レベルでもルールがある。


加えて、予算も原因の1つだ。各大学は試合に観客をほとんど入れることができないために収入が見込まれない。しかも、コロナ対策の費用が追加される。だから、各大学は普段よりも移動を減らす等して費用を抑えなければならなくなった。


その結果、短期間で初めからスケジュールを組み立てなければならない状況にも関わらず、関係者各位はコロナ観の違いと各種ルールの網を潜り抜けたスケジュールを少ない予算で組むことが求められたのだ。

カオス化の要因3: キャンセル続出

その後、関係者総出で必死に試行錯誤の末、各校は少なくとも直近数試合の予定を組むことに成功したのだが、直前に試合のキャンセルが続出した。理由は陽性者の出現だ。NCAAのガイドラインは各チームに定期的な検査と陽性者が出た場合は2週間のチーム活動休止を推奨しているのだが、多くのチームが陽性者の出現で活動休止を余儀なくされ、それに伴って試合のキャンセルも相次いだのである。

試合をしたい理由は金

NCAA関係者が試合をしたい理由はシンプルに金だ。


特にノンカンファレンスゲームはハイメジャー校にとってもミッドメジャー校にとっても稼ぎ時である。通常、ノンカンファレンスゲームはミッドメジャー校がハイメジャー校を訪れる形になる。理由はハイメジャー校の方が集客力があるからだ。ハイメジャー校の方が大きなアリーナとファンベースを持っている。基本的には15,000人程度の観客がチケット、飲食、グッズ、駐車場を払うため結構な額の収益が大学に入る。


そして、収益の一部が対戦相手のミッドメジャー校にファイトマネーとして渡される。ミッドメジャー校の場合、観客は少なければ数百人、多くても5000人程度、しかも、ハイメジャー校とは違ってチケットは$15程度と安く、グッズ収入も見込めない。だから、ミッドメジャー校の財政状況は常に厳しく、ハイメジャー校にボコされに行かなければ運営は立ち行かないのだ。


2020-21は試合数の減少で多くのバスケットボール部は巨額の収入を失うことになるが、それでもやらないよりはマシなので、各校は必死になってスケジューリングに奔走していたのだ。

開幕前: 独特なスケジュール

バブルビル計画

コロナ観の違いで画期的なアイデアが白紙に

各カンファレンスのコロナ観の違いを最も露呈していたのがバブルビル計画の破談だ。


バブルビルとはフロリダ州オーランドにバブルを作って約20個の大会を一か所で開催する計画だ。例年、アニュアルイベントと呼ばれる小さな大会が感謝祭やクリスマス休暇中に全米各地と近隣諸国のリゾート地で開催されている。アニュアルイベントは、NCAAトーナメントの出場にはほとんど影響しないため結果は重要ではないのだが、「連休中」&「リゾート地」で行われることから察しの通り、収益面で大きな意味がある大会だ。


しかし、ほとんど全てのアニュアルイベントは国、州、市、アリーナの判断で例年と同じ場所での開催が不可能になった。一部の大会は会場を移して行われることになったのだが、ほとんどの大会は代替の会場を見つけることができなかったため、ESPNは自身が放映権を持っている大会をコロナに寛容なフロリダ州某所に集めて一気に開催するバブルビル計画を提案したのだ。


バブルビルには大きく2つメリットがあった。1つは大会を放送することで得られる広告収入の回収なのだが、もう1つは各校のスケジュール調整が楽になることだ。各校は州、カンファレンス、各大学のコロナに関するルールによってマッチメイクに苦労していた。もしバブルビルが開催されれば、各校は複数の大会に出場して4~5試合程度を一気に組むことができたのだ。バブルビルは一気に多くのチームのスケジュール問題を解決できる画期的な案だったのである。


しかし、一部の強豪校がバブルビルのコロナのガイドラインに拒否反応を示した。ESPNはNCAAのCOVID-19のガイドラインにただ沿っただけだったのだが、実はNCAAは「ガイドラインは強制ではない」と弱腰だったため、発言力のある強豪校がごねてしまったのだ。その結果、ESPNが「各校が自由に試合を組んだ方が良い」と言い放って計画全てが白紙になってしまった。

カンファレンスを名指しで批判

後日、ビラノバ大学(ビッグ・イースト・カンファレンス)のジェイ・ライトは拒否反応を示したチーム(厳密には彼らが所属するカンファレンス)を批判した。理由は簡単だ。ライトは解決の兆しが見えた地獄のスケジュール調整に再び追われなければならなかったからだ。同じくビッグ・イースト・カンファレンスに所属しているシートン・ホール大学HCのケビン・ウィラードも愚痴をこぼした。

陽性者出現も試合決行

カンザス大学、ゴンザガ大学、オーバーン大学等はFOXが放映権を持つフォート・マイヤーズ・インビテーショナルに参加した。NCAAのガイドラインでは陽性者が出たチームには2週間の活動休止を推奨しているのだが、同大会を放送するFOXは参加校にNCAAのガイドラインに従うことを強要していないため、現地11月27日、ゴンザガ大学から陽性者が出たにも関わらず、試合が決行された。

バブルビル開催

しかし、その後、ネイスミス財団、ガゼルグループ、ESPNの尽力によってバブルビルは開催されることになった。バブルビルでは11/25~12/5の11日間にモヒーガンサン社が所有するコネチカット州のカジノリゾートに男女合わせて45チームが集まって試合を行った。ちなみに、バブルビルでは集まったチーム同士がスケジュールを調整して独自に試合を行うこともできた。

歴史的黒人大学2校がシーズン断念

歴史的黒人大学(HBCU)のベスーン・クックマン大学とメリーランド大学イースタンショア校は開幕前に2020-21シーズンをプレーしないことを発表した。両校はNCAA D1の最弱校だ。もしかしたら活動しても仕方がないというのも断念の理由かもしれない。

開幕時期延長

アイビー・リーグは2020-21シーズンの開催を2021年1月まで中止とした。アイビー・リーグはハーバード大学、イェール大学、松井啓十郎選手の母校コロンビア大学等が所属するカンファレンスだ。同リーグは昨季もCOVID-19を懸念していち早くシーズン中止を発表していた。ペイトリオット・リーグもカンファレンスゲームのみとして開幕時期を先延ばしにした。

Bリーグフォーマットの採用

ミッドメジャー校にはバブルと中止のどちらの選択肢も無かった。どちらの場合も大赤字になってしまうためである。その結果、いくつかのミッドメジャーカンファレンスは週末にどちらかのホームで2試合を行う”Bリーグ式”を採用した。NCAAの各カンファレンスが移動を減そうとしている理由はコロナ対策としてなのだが、移動が抑えられればその分だけ経費が削減されるため、予算の少ないミッドメジャーカンファレンスにとっては財政面でもBリーグフォーマットは有効なのだ。

家なき校

ニューメキシコ大学とニューメキシコステイト大学はホームゲームをプレーできなくなった。理由はニューメキシコ州のガイドラインが5名以上の活動の自粛を定めているからだ。その結果、ニューメキシコ大学はテキサス州、ユタ州、コロラド州を仮設ホームとしてプレーすることになった。一方、ニューメキシコステイト大学はアリゾナ州フェニックスとテキサス州エルパソを拠点とした。

独自のミニバブル

一方、金持ちのルイビル大学とケンタッキー大学は独自に複数校を招いた大会(Multi-Team Event)の主催を決定した。ルイビル大学に至ってはアリーナにホテルが隣接されているため独自のミニバブルを作っての開催となった。

陸の孤島アリーナがカレッジフープスの中心地に

そして、サウスダコタ州の陸の孤島に聳え立つペンタゴン・アリーナが要所と化した。サウスダコタ州は全50州の中で5番目に人口が少ないド田舎だ。ペンタゴンは最も近い国際空港から200マイル(320km)も離れた場所にあるのだが、全米や諸外国の各アリーナが閉鎖されている中、陸の孤島故にウィルスとの接触回数が少ないことから、今季に入ってから同施設は度々大会や試合会場として利用され始めた。11月最後の約1週間だけでも男女合わせて約20試合が行われた。

近所のチームとの試合

さらに、できるだけ移動を減らすために近くのNCAA D2やD3、NAIA校と試合を組んでいるチームも多い。NCAA D1校が下位ディビジョンや別の大学体育協会のチームと対戦すること自体は珍しいことではないのだが、例年であればNCAA D1のホームで行われるところを、今季はNCAA D1校が相手に赴いて試合を行うケースも出現した。

開幕後

活動休止&試合中止が続出

開幕以降、活動を一時的に休止するチームが後を絶たない。試合のキャンセル、延期、対戦相手の変更も続出している。NCAAのガイドラインは陽性者が出た場合は2週間のチーム活動休止を推奨している。各校はNCAAのガイドラインに従う義務は無いが、南部の強行派の大学すらもチーム関係者に陽性者が出た場合10日程度の活動休止を取っていて、常に30~40チーム程度(NCAA D1の10%程度)が活動を休止している状態だ。

主な出来事

ミシガン大学内のいざこざ

2020年12月9日、ミシガン大学のアイザイア・リバースがクリスマスに試合が組み込まれていることに対して不満を公言した。これに対してHCのジュワン・ハワードはリバースには賛同しない旨の発言をしている。ちなみに、リバースとハワードは11月29日のオークランド大学戦のタイムアウト中に口論になっていた。リバースは前任者ジョン・ベイリンがリクルートした選手である。

説得力不足のコーチK

2020年12月、コーチKのシーズン継続に対する疑問が議論を呼んだ。コーチKのリーダーシップを称賛する声が上がる一方で否定的な意見も続出したのだ。実際、アラバマ大学HCのネイト・オーツ(Nate Oats)はコーチKへの反対する旨を発表し、それに対してシラキュース大学のジム・ベイハイム(Jim Boeheim)がコーチKを擁護するコーチ同士の”やり合い”も勃発した。


コーチKが説得力を欠いた最大の理由はコーチK自身が試合中に度々マスクを外して叫んでいたことだ。つまり、言動が一致していなかったのである。加えて、デューク大学の成績不振が「コーチKは恥ずかしいシーズンを避けるためにコロナを利用してシーズンをストップさせたいのではないか?」との邪推を呼んでしまった。


後日、オーツは謝罪して言い争いは収まった。同時にデューク大学はノンカンファレンスゲームを全てキャンセルした。

ドロップアウト組

アイビー・リーグが2020-21シーズン開催を断念した。シカゴステイト大学、ハワード大学、メイン大学はシーズン途中に活動を終了した。シカゴステイト大学はNCAA D1で最弱校として有名なのだが、今季も0勝9敗と苦しんでいたこともあってか、年明け前にドロップアウトを発表した。メイン大学も1月半ばのキャンセルを機にシーズンを終了した。その後、12月半ばから休止が続いていたハワード大学も2月にシーズン断念を発表した。

ジェイ・ライトが自己都合で試合を延期

12月19日、遂に自己都合の試合延期が登場した。NCAAのガイドラインは「チーム内にコロナ陽性者が出る」or「陽性者と接触した可能性がある」場合は試合の延期や中止を推奨しているが、ビラノバ大学HCのジェイ・ライトは「選手達は休息が必要だ」としてコロナに関係無い理由で12月30日に予定されていたSt.ジョーンズ大学戦を双方合意の上で延期したのだ。

自己都合の延期はハックに繋がる。NCAAトーナメントの出場にはレギュラーシーズン中の成績が加味される。今回の延期は対戦相手とビッグ・イースト・カンファレンスの合意の上での決定ではあるが、もしこのように自由に試合を延期(中止)することがまかり通ってしまうのであれば、各大学は都合の悪い試合を恣意的に回避することが可能になり、都合の悪い試合だけ回避してNCAAトーナメントに出場する”ハック”ができるようになってしまう。

マスク着用で試合に

ボストン大学の選手達は大学のポリシーでマスク着用で試合に臨んでいる。

マスク未着用が発覚して試合が延期に

2021年2月8日に予定されていたノースカロライナ大学とマイアミ大学の試合が延期した。理由はノースカロライナ大学のアーマンド・ベイコットとデイロン・シャープの両選手がマスクを着用せずに集団の中で騒いでいたことがSNS上の動画で発覚したからだ。

SNS上で対戦相手を募集

ノースカロライナ大学が2月16~18日の間に試合のできるチームをTwitter上で募集した。後日、ノースイースタン大学との試合が決まった。

現在: 延期や中止は相次ぐも混乱は無し

現在、試合の延期や中止とチームの活動停止は引き続き起こっているが、カオス化は落ち着いている。いざこざも大きなものは起こっていない。実際、NCAAはNCAAトーナメントにファンの入場を許可する意向をも発表している。

まとめ

現在、カオス化は収まりを見せつつある。実際にNCAAトーナメントはファンの入場を許可するつもりだ。

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参考

SEC Announces Men’s Basketball Schedule(secsports.com)
Men’s Basketball Conference Schedule Announced(big12sports.com)
BIG EAST Announces December Conference Games(bigeast.com)
Pac-12 Men’s Basketball releases reorganized inaugural 20-game 2020-21 league schedule(pac-12.com)
2020-21 Men’s Basketball Conference Schedule Announced(theacc.com)
2020 MAUI INVITATIONAL BRACKET REVEALED(mauiinvitational.com)
America East closing in on schedule structure for 2020-21(mdmajormadness.com)
Exclusive: ESPN abandons plan for college basketball bubble events in Orlando(theathletic.com)
Final details unveiled for college basketball ‘Bubbleville’ event at Mohegan Sun(espn.com)
No. 1 Gonzaga Plays, And Rolls, Despite Positive Tests For Covid-19(forbes.com)
Bethune-Cookman To Opt Out Of All Sports In 2020-21(bcuathletics.com)
Maryland-Eastern Shore Hawks opt out of spring sports because of coronavirus(espn.com)
2020-21 MEN’S BASKETBALL SCHEDULE(golobos.com)
2020-21 Men’s Basketball Schedule(nmstatesports.com)
Gonzaga vs. Iowa: How a small venue in South Dakota became a hoops hub during a pandemic(cbssports.com)
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UNC-Miami Game Postponed(247sports.com)
NCAA to allow limited number of fans for Division I men’s basketball tournament(espn.com)

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