【徹底解説】オーバータイム・エリート

うい。


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※全て参考文献付き

そして、その他はNBAとNCAA以外のカテゴリーである。

今回は高校生プロリーグとして着々と準備が進んでいるオーバータイム・エリートについてだ。

概要

オーバータイム・エリート

自称: 高校生プロリーグ

オーバータイム・エリート(OTE)は2021年秋冬から開幕予定の高校生プロリーグだ。オーバータイム・エリートは合計30名の高校4年生と3年生と契約し、選手達は1都市に移り住んで、試合、トレーニング、高校卒業資格の勉強やプロとしての心得の習得に励む予定となっている。

実際: 高校生プロ”チーム”&オルタナティブリーグ

高校生プロチーム

現在、オーバータイム・エリートには掲げている目標と現状とでは異なる点がいくつかある。まず、オーバータイムはオーバータイム・エリートを”リーグ”と称しているが、実際に運営されているのは1チームのみのため、実質的には高校生プロ”チーム”の方が正しい。しかも、オーバータイムは今後はオーバータイム・エリートで国内のプレップスクールとの対戦や海外遠征を画策しているのだが、このスケジュール形態はプロレスやAND1 MIX TAPE TOURのような巡業団体のそれであり、このことからもチームの方が表現としては正確だ。

高校卒業後の選手もプレー

オーバータイム・エリートには高校生に加えて高校卒業直後の選手も参加している。2005年、NBAが米国選手のNBA入りの条件に「高校卒業後1年の経過」等を加えたため、多くの選手は最低1シーズンは大学に通わざるを得なくなった訳だが、一方で一部はプレップ、プロ、自主練といったオルタナティブ(大学進学以外の選択肢)を開拓し、次第にその種類も増え、遂にはGリーグイグナイトの設立までに至った。そして、オーバータイム・エリートは新たなオルタナティブとしてのポジションを狙っている。実際、現在OTEの中には高卒直後の1年を含んだ契約の者もいる。

オーバータイム: バスケメディア

主催者のオーバータイムは中高生選手を中心としたバスケメディアだ。オーバータイムは選手のハイライトはもちろんのことだが、選手や家族に密着したドキュメンタリー等も好評を得ている。

オーバータイムエリートの魅力

収入面

オーバータイムの魅力は選手のサポート体制だ。選手達は最低$10万、ボーナス、オーバータイムの株式を給与を受け取ることができるが、加えて、自由に自身のNIL(Name-Image-Likeness)を活用したマネタイズ(シューズ契約やオリジナルブランド設立等)が許可されている。マネジメントや代理人と契約することも自由だ。

教育

オーバータイムは選手に金融知識やメディア露出等のプロとしてのライフスキルも教育するつもりだ。

トレーニング

主なスタッフ
  • ケビン・オーリー: 元コネチカット大学HC
  • ジェイ・ウィリアムス: 元全体2位指名選手&ESPN解説者
  • エイブリー・ジョンソン: 元ダラス・マーベリックス&アラバマ大学HC
  • マルコム・ターナー: 元Dリーグ社長

オーバータイムは最新の科学技術、理論、設備、スタッフを準備して選手の育成に力を入れるつもりである。

サポート

もし選手がオーバータイムエリートでプレーしたことが原因(怪我等)で将来プロキャリアを断念せざるを得ない場合、オーバータイムは最大$10万の大学費用を保証するとしている。加えて、保険も充実させるとのことだ。

現在: 準備中

今後の予定

  • 資金調達
  • 選手の契約
  • 詳細の決定

資金調達

資金調達は順調のようだ。オーバータイムはこれまで現役&元NBA選手から出資が都度決まっていたが、最近はシリーズ3と呼ばれる黒字化の見込みが高い投資ステージに入り、2021年4月にはジェフ・べゾス(アマゾンCEO)、ドレイク(ラッパー)、パウ・ガソルやデビン・ブッカーといった現役&元NBA選手、その他の投資家達の合計25名も出資者に加わり、資産価値は$250万に達した。ちなみに、日本からは電通も出資に加わっている。

選手の契約

マット&ライアン・ベウリー双子(2023年高卒組)

2021年5月、マット・べウリ―(Matt Bewley)とライアン・べウリ―(Ryan Bewley)の双子が初の契約選手となった。両者は共に6’9″(206㎝)、高校3年生(日本の高校2年生)、高校卒業予定2023年組に属し、同学年内のトッププレイヤーの1人として評されていてる。契約期間は高校卒業の年に合わせた2023年までの2年契約になっているようだ。

エイメン&オーサー・トンプソン双子(2022年高卒組)

2021年5月末、OTEはエイメン・トンプソン(Amen Thompson)とオーサー・トンプソン(Ausar Thompson)の双子と契約した。両者は高校卒業後の2022-23も契約下にある。

ジーン・モンテロ(6’3″/2022ドラフト)

2021年6月30日、ジーン・モンテロ(Jean Montero)が初の外国籍選手となった。モンテロはドミニカ共和国出身の17歳(2003年7月生まれ)、2020年11月には同国のトップ代表デビューも果たし、現在はグラン・カナリア(スペイン)の契約下にある。それ故にOTEの加入は厳密にはグラン・カナリアからのレンタル移籍となる。また、モンテロはNBAの定義でインターナショナル選手に該当するため、2022年のNBAドラフトへのエントリーが可能だ。

アレクサンドレ・サー(6’10″/フランス出身)

2021年7月、アレクサンドレ・サー(Alexandre Sarr)が初のヨーロッパ出身選手として契約合意に至った。サーは2005年生まれ、フランス出身、直近ではレアルマドリードの契約下にあったフォワードだ。ちなみに、兄オリバー・サーも優秀な選手で、ウェイク・フォレスト大学(2017-18~2019-20)とケンタッキー大学(2020-21)でプレーし、2021年のNBAドラフトの候補生に名を連ねている。

ネイサン・ミッシア-ディオ(6’6″/ベルギー出身)

2021年7月、OTEは2人目のヨロピアンプレーヤーとしてネイサン・ミッシア-ディオを迎え入れた。ミッシア-ディオ(Nathan Missia-Dio)は直近の2シーズンはフランスのクラブに所属し、2019年にはU16のベルギー代表メンバーにも選ばれている。

ジェイレン・ルイス(6’9″/2023年高卒組)

2021年7月、OTEはジェイレン・ルイス(Jalen Lewis)の加入に成功させた。ルイスはESPNに2023年高卒組(Class of 2023)の全体2位に評されているNBAプロスペクトだ。

その他

ジェイ・スミス(Jai Smith)は2022年高卒組のスリースターのフォワードだ。エマニュエル・マルドナードはプエルトリコ出身で、2021年に高校を卒業したが、高校時代にはベスーン・クックマン大学しかオファーが無かった無名のガード選手である。

スケジュール

主なスケジュール
  • AAU参加(夏)
  • プレップスクール/プロ/国外遠征(冬)

2021年6月末、AAU大会への参加のみが急遽発表された。AAUは一言で言えば春夏に開催されるクラブチームの大会だ。一方、秋冬のスケジュールは未だに発表されていない。OTEはプレップスクールやプロリームとの対戦を模索しているようだが、同時に国外遠征も視野に入れているらしい。

施設

現在、ジョージア州アトランタ市のアトランティックステーション地区に”キャンパス”が建設されている。昨冬、OTEはジョージア州アトランタを拠点として選んだ。その後、具体的なキャンパスの位置がアトランティックステーション地区に決まった。キャンパスにはホームアリーナ、トレーニング施設、その他の高校卒業資格やプロの準備のための座学用のビルが建つ予定だ。

背景: 何故、このタイミングなのか?

NCAAのルールの大幅な緩和…(見込み)

1つ目の理由はNCAAの学生アスリートのエリジビリティ(プレー資格)が緩和されているからだ。


近年、NCAAは学生アスリートのマネタイズに寛容になっている。


実はNCAAは約100年間アマチュアリズムを大義名分として学生アスリートが必要以上の金銭を手にすることを固く禁じてきたのだが、近年はNCAAの利益の独占に対する批判の声が高まり、その結果、2021年夏から学生アスリート達は自身の知名度(Name)、イメージ(Image)、好感度(Likeness)を活用したマネタイズができるようになった。要するに、選手達はインフルエンサーになって金を稼ぐことができるようになった


しかも、NCAAは近年はプロ経験者にも寛容になっている。先述した通り、NCAAはアマチュアリズムを建前として利用しているため、一応ルールには大学入学以前にプロ契約や大会の賞金といった競技力を活用して支払いを受けていた者(=プロ)のプレーの禁止が明記されているのだが、近年は15、16歳の頃からヨーロッパクラブでプロとしてプレーしていた留学生が増加しているためか、今ではほとんどの元プロ選手はプレー資格が認められている。


つまり、これまでは高校生でプロになってしまった選手はNCAAでプレーする道が閉ざされてしまっていたのだが、近年は高校生でプロになったとしても大学で文武両道の道を選ぶことが可能になったのだ。これによって今の中高生達はプロになることを躊躇わずに済むのだ。


但し、オーバータイム・エリートの選手達が必ずしもNCAAでプレーできる保証はない。カリフォルニア州やフロリダ州はPay for Playも保障する州法の法案を通過させてしまっているが、NCAAは学生アスリート達の競技のパフォーマスへの対価(Pay for Play)を許可するつもりはないからだ。現在も各州の学生のマネタイズに関する州法を統制する連邦法が話し合われているが、コロナと政権交代で後回しになってしまっているのが実情だ。つまり、オーバータイム・エリートは見切り発車感は否めない。

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ユーススポーツの育成力不足

2つ目の理由がアメリカの育成力の問題だ。


現在、アメリカのユーススポーツ界は高校の部活(11~3月)とAAUクラブ(4~8月)の両方でプレーするのが当たり前になっているのだが、特にAAUがバスケットボールを学ぶ場として機能していないとして問題視されている。


まず、AAUは中高生達がカレッジコーチに自身をアピールする場となっている。強豪AAUクラブの中にはほとんど練習がないチームもある。だから、選手は試合中に勝利に繋がるプレーではなくアピールに繋がるプレーをしがちだし、そもそも即席チームでは組織の一員として与えられた役割をこなす動きを学ぶことはできない。その結果、選手達はいびつなバスケットボールをプレーすることになっている。


さらには、AAUクラブ(特に強豪)は金儲けのために運営されている。AAUクラブのコーチ達は良い選手を加入させてシューズメーカーから見返りを受け取る。見返りは数十万ドル(日本円で数千万円)に及ぶ場合もある。シューズメーカーはAAUクラブが獲得した選手を自社がスポンサードしている大学に送り込み、あわよくばNBA入り後のシューズ契約も結び、その選手の効果で商品が売れることで利益を回収している。大会やキャンプの開催も全ては利益のためだ。


そして、それ故にAAUコーチ達は指導力を問われない。AAUコーチに求められるのは「資金調達」と「選手の収集」だ。言い換えるならば、AAUコーチはビジネスマンである。実際、彼らの中にはコーチングやバスケットボールのバックグラウンドを持ち合わせていない者も大勢いる。


コービー・ブライアントは「AAUに携わってる奴らはAAUの環境をドル箱にしか思っていない」と痛烈に批判している。ブライアントは選手時代から夏に自身でクリニックを開催するなどして子ども達にバスケットボールを教え、AAU文化を変えようとしていた。マンバ・アカデミーもこういったコービーの意思の表れだった。


オーバータイムが素晴らしい経歴を持つコーチをスタッフに囲い込んでいるのはそういった事情がある。

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NFT: 新たな金融商品

3つ目の理由がNFT(Non-Fungible Token)の登場だ。


NFTはブロックチェーン技術を応用した新たな金融商品である。ざっくり言えば、データAにブロックチェーンを応用した場合、Aの生産者や取引回数が一目でわかるようになる。つまり、Aが本物か偽物かがブロックチェーンによってハッキリわかるのだ。


実際、NBAではトップショット(Top Shot)と呼ばれるNFTが高値で取引されている。トップショットは豪快なダンクやブロックといった1プレーを収めた数秒程度の動画だ。但し、購入者はそのプレーの権利を有する訳ではないため、その動画を独占公開したり、他人には見させないようにすることが出来る訳ではない。NBAが公式に発行している動を所有している意味しかない。つまり、インターネットで探せばいくらでも無料で見られるプレー動画が高値で取引されているのである。


理屈はトレーディングカードだ。トレーディングカードは、ネットで同じ写真を拾って印刷することができるにも関わらず、コレクターやマニア間で高額で取引されている。逆に言えば、ネットで同じ写真を印刷した物がトレーディングカードと同じ価値にはならない。つまり、本物か偽物かに価値があるのだ。NFTは「ブロックチェーンで発行元をはっきりさせられることができれば、データにもトレーディングカードゲームの理屈が通じるのでは?」という仮説の下に成立している。


そして、現在、NFTはマニアやコレクターよりも投資家達の投機対象として注目されている。オーバータイムの出資者達はオーバータイムのNFTの価値をも鑑みた上で身銭を投じている。

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過去の失敗例: JBA

実はオーバータイム・エリートは初の高校生プロリーグではない


2018年にジュニア・バスケットボール・アソシエーション(JBA)と呼ばれる大学生と高校生を集めたプロリーグが数カ月だけ開催されていた。主催者はロンゾ・ボールとラメロ・ボールの2人のNBA選手の父ラバー・ボールだ。2018年夏、ラバーは16~24歳の選手達で構成された全8チームを引き連れて全米中をツアーして周った。


しかし、財政状況は相当厳しかったようだ。専らラメロ・ボール以外はNCAA D1でプレーすることすらままならない選手ばかりだったにも関わらず、チケットの最低価格は$40と強気な価格設定だったため、客入りが非常に悪かったのだ。しかも、コーチやスタッフの胡散臭さも否めなかった。そして、11月末、父ラバーがラメロとリアンジェロ(ボール兄弟次男)の離脱で完全にやる気を無くし、中国ツアーはキャンセルになり、約1カ月後の年明けに公式にリーグ消滅が発表された。


その後、選手達から給料の未払い等の内部崩壊の様子が暴露されているが、ラバーは白を切り通すつもりらしい。

まとめ

  • 概要: 高校生プロリーグ
  • 背景
    NCAAのマネタイズ緩和
    ユーススポーツの育成問題
    NFTの可能性
  • 出資者: ジェフ・べゾス、電通、多数の現役と元NBA選手等

オーバータイム・エリートはバスケメディアのオーバータイムが今秋に開催予定の高校生プロリーグだ。背景には「NCAAのマネタイズの緩和」「ユーススポーツの育成問題」「NFTの可能性」がある。現在は現役&元NBA選手を中心にジェフ・べゾス、ドレイク、電通といった様々投資家から注目を集めている。

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参考

Overtime Elite(overtimeelite.com)
A New League’s Shot at the N.C.A.A.: $100,000 Salaries for High School Players(nytimes.com)
Overtime Launches A Basketball League That Will Pay High School Players Six-Figure Salaries(forbes.com)
Overtime announces launch of professional league ‘Overtime Elite’(finance.yahoo.com)
ARTICLE X PLAYER ELIGIBILITY AND NBA DRAFT(cosmic-s3.imgix.net)
Overtime Raises $80 Million From Jeff Bezos, Drake, NBA Stars and Others(wsj.com)
電通ベンチャーズ、米国で若年層ファン向けスポーツプラットフォーム・コミュニティを運営する「オーバータイム社」に出資(kyodonewsprwire.com)
Unique basketball prep league, school starting in Atlanta(ajc.com)
Matt, Ryan Bewley first high school juniors to join Overtime Elite league(espn.com)
Overtime Elite lands another set of twins as Amen and Ausar Thompson choose professional program over college(cbssports.com)
Jean Montero signing with Overtime Elite, to be league’s first international player(espn.com)
Overtime Elite League Signs First European Player In Alexandre Sarr(forbes.com)
Overtime Elite Signs Belgian Forward Nathan Missia-Dio(forbes.com)
Jalen Lewis becomes highest-ranked basketball recruit to join Overtime Elite(espn.com)
DI Council introduces name, image and likeness concepts into legislative cycle(ncaa.org)
Landmark College Athletes Bill of Rights to be introduced in Congress(yahoo.sports.com)
Under the knife: Exposing America’s youth basketball crisis(espn.com)
Kobe: Europe’s players more skillful(espn.com)
Rui Hachimura’s unique NBA journey and the problem with AAU(sports.yahoo.com)
Play Their Hearts Out: A Coach, His Star Recruit, and the Youth Basketball Machine(George Dohrmann/2010)
‘This is the future’: NBA Top Shot and the dizzying world of digital collectibles(espn.com)
The broken dreams and promises of LaVar Ball’s failed basketball league(nypost.com)

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