概要
エリジビリティ=プレー資格
- 時間的制約
大学入学期限: 高校卒業後1年以内
在学期間制限: 最初の大学入学5年以内
プレーシーズン数: 最大4シーズン - 学力基準
GPA/単位etc
テストスコア: SAT/ACT(留学生のみ) - アマチュアステータス
ペイ・フォー・プレー未経験
NCAAはディビジョン1&2に関してはエリジビリティ(eligibility)を規定している。エリジビリティは選手資格だ。NCAA D1&D2での競技希望者は中学-高校時にNCAAエリジビリティセンターにアカウントを登録し、自身の高卒程度の学力とアマチュア資格保持の証明を定期的に行い、イニシャルエリジビリティを取得しなければならない。また、学生アスリート達は大学在学中も「時間的制約」「学力基準」「アマチュアステータス」の中でエリジビリティを保持し続けなければならない。
エリジビリティの条件1: 時間的制約
- 高校卒業後1年以内の大学入学
- 大学生活5年目以内
- 大学4シーズン以内
時間的制約1: 高校卒業後1年以内の大学入学
NCAA D1&D2の男女バスケ部の場合、原則的には高校卒業後12カ月以内の大学入学が求められている。年齢制限は無い。高校卒業2年後に大学に入学した場合、基本の「4シーズン/大学入学5年以内」の選手資格が「3シーズン/大学4年以内」等の減損措置がなされる。一方、北米では高校卒業時に20歳の学生もザラにいる。また、留学生はしばしば母国と米国の高校卒業時期の違いから猶予を超えてしまう。そのため、実際には大学入学遅れ(Delay Enrollment)は2年程度なら許容されている。
時間的制約2: プレーシーズン数/在学期限
タイムクロック: 最初の大学入学から5年以内
- 例: A選手
大学生活開始(2015年)
休学(2016~2018年)
残り→2年間
NCAA D1&D2の男女バスケ部員は最初の大学入学(NCAA D1、D2、D3、非NCAA校、短大、日本の大学等を含む)から5年以内しかプレーできない。例えば、2019年〇〇短期大学入学→2020年NCAA D1××大学編入の場合、タイムクロックは「5年間」から〇〇短期大学の2019-20の1年分を差し引いて「4年間」となる。しかも、タイムクロックは止まらない。そのため、最初の大学生活開始後の休学期間もカウントされる。
プレーシーズン制限: 最大4シーズン
NCAA D1&D2の男女バスケ部員は合計4シーズンまでしかプレーできない。プレーシーズン数はあらゆるカレッジキャリアの合算数だ。当該選手は公式戦1秒の出場で1シーズン分のエリジビリティを失う。
タイムクロックは「完全に成熟した大人のプレー禁止」のために設けられている。上記の時間的制約が存在しない場合、大学10年目で28歳のような大人がコートで幅を利かせるようになるだろう。
レッドシャツ: プレーシーズン数の浪費防止
レッドシャツ(redshirt)は「同シーズン中の公式戦出場無し」状態や選手だ。先述の通り、エリジビリティは「1秒の出場→1シーズン」とカウントされてしまう。言い換えれば、シーズン全休は1シーズン分のエリジビリティ保持となる。毎年、多くの選手が自ら敢えてレッドシャツになってエリジビリティのキープに精進している。
例外事例: 5シーズン目/6年目のプレー
ウェイバー(一般事例)
- バーナード・ジェームス
空軍勤務×数年
タラハシー短大(2008‐10)
FSU(2010-12) - カイル・コリンズワース
BYU(2010-11)
モルモン教布教活動×2年
BYU(2013-14)
BYU(2014-15)
BYU(2015-16)
NCAAは「兵役」「宗教活動」「妊娠」「インターンシップ」「海外留学」のウェイバーを認めている。例えば、元NBAバーナード・ジェームスは高校卒業後に空軍に入隊し、兵役中にバスケットボールの道を志し、25~27歳時にフロリダステイト大学でプレーしていた。元NBA&Bリーグのカイル・コリンズワースはモルモン教の布教活動でBYU在学中に2年間チームを離れていた。
ウェイバー(個別事例)
- ウコイ・ウゴウ
ルイビル大学(2013-14): 19試合
ルイビル大学(2014-15): 3試合→怪我&編入模索RS
ジョージタウン大学(2015-16): 0試合→編入&怪我RS
ジョージタウン大学(2016-17): 32試合
SMU(2017-18): 27試合
ルイビル大学(2018-19): 19試合 - ザック・ロフトン
サンジャシント短大(2012-13)
イリノイステイト大学(2013-14): 31試合
ミネソタ大学(2014): 退学
テキサスサザン大学(2015-16): 編入RS
テキサスサザン大学(2016-17): 35試合
ニューメキシコステイト大学(2017-18): 33試合
自身のコントロール外の理由のシーズン全休の場合、学生アスリートはNCAAに5シーズン目/6年目のプレー資格を申請できる。先述の通り、公式戦1秒の出場すらも1シーズン分にカウントされる。一方、現実的には「シーズン前半の負傷→全休」のケースは十分にあり得る。そのため、NCAAは不条理なエリジビリティ消費の救済措置としてウェイバー制度を設けている。2010年代中盤以降、姿勢は寛容だ。最大20試合弱の出場者(1/3欠場)もウェイバーを認められている。
エクストラ・イヤー・オブ・エリジビリティ(コロナ救済措置)
Traci Carter
— Kevin Sweeney (@CBB_Central) December 18, 2021
Jalen Coleman-Lands
Camron Justice
KJ Walton
The four members of CBB’s “Year 7” club.
They were in the same HS class as Ben Simmons, Jaylen Brown and Brandon Ingram.
- セス・タウンズ
ハーバード大学(2016-18)1&2シーズン/大学1&2年目
ハーバード大学レッドシャツ(2018-20)大学3&4年目
オハイオステイト大学(2020-21)3シーズン目/大学5年目
オハイオステイト大学レッドシャツ(2021-22)大学6年目
空白期間(2022-23)
ハワード大学(2023-24)4シーズン目/大学8年目
ハワード大学(2024-25)5シーズン目/大学9年目*
学生アスリート(2020年秋大学入学済み)は「大学6年目」や「5シーズン目」のプレー資格を持っている。2020年10月、NCAAは「2019‐20の新型コロナウィルス起因の中止+先行き不透明」に配慮し、現ウィンタースポーツの学生アスリートに「1シーズン/在学1年」の選手資格追加を発表した。つまり、2020年秋時点の四年制or短大の学生はNCAA D1&D2で最大「5シーズン/在学6年間」までプレーできる。実際、富永啓生選手はNJCAAレンジャーカレッジ(2019-20+2020-21)+NCAA D1ネブラスカ大学(2021-22+2022-23+2023-24)の計5シーズンをプレーした。そして、異例の大学7年目以上の選手もちょいちょい誕生した。
追加エリジビリティは奨学金枠争いを激化させた。通常、奨学金枠は5~6学年間で争われる。一方、2020年以降は6~7学年間の競争となった。しかも、編入生市場がトランスファールールの大幅緩和によって拓かれた。そして、カレッジリクルートの基本は上級生の獲得だ。つまり、優先順位は現四年制大学や短大の編入希望者となる。その結果、奨学金枠が高校生やポストグラデュエート学年にまわりにくくなってしまった。
NCAA D3の時間的制約
NCAA D3には実質的にはタイムクロックはほとんど存在しない。NCAA D3の場合、エリジビリティは大学やカンファレンスの判断に委ねられている。そのため、ほとんどの学生がエリジビリティを認められている。実際、30歳前後の学生がNCAA D3の公式戦に出場している。オーバーエイジの選手がNCAAトーナメント上位進出をもたらしたり、あるいは後にNBA入りもしている。つまり、チート級の20代中盤の選手もプレーできる。
エリジビリティの条件2: 学力基準
- イニシャルエリジビリティ
フルタイム学生
高校卒業
GPA
必修科目単位: 16単位 - 大学在学中
フルタイム学生
イニシャルエリジビリティ: 最初のNCAA D1&D2校入学時の条件
高校生/ポストグラデュエート生
- フルタイム学生
- 高校卒業
- 必修科目単位: 16単位(高校4年間)
英語(母語)/数学/科学系/社会系/外国語/倫理系 - 必須科目のGPA
NCAA D1: 2.3以上
NCAA D2: 2.2以上 - SAT/ACT(留学生)
まず、新大学生はNCAA D1&D2校にフルタイム学生として入学しなければならない。つまり、交換留学生や聴講生はエリジビリティを認められない。次に、高校卒業も必須だ。米国の高校生は州法次第で16歳から高卒認定試験(General Educational Development)を受験できる。また、高校1~4年生(9~12年生)間の「コアコース16単位」&「一定数以上のGPA」取得も求められる。そして、2016年高卒組以降は段階的な成績の取得を求めている。NCAA D1の場合、高校7学期目の開始までの10単位取得も必要だ。一方、2023年8月以降、テストスコア(SAT/ACT)が米国高校通学者のイニシャルエリジビリティ条件から除外された。米国外の高校通学者はSAT/ACTの提出のみ求められる。
段階的な単位取得と時間制限はハッキングの横行に端を発している。2016年以前、相当数の高校/PG生が周囲のサポートを受けて”賢く”単位を取得していた。例えば、類似授業が複数に分割されて別々の授業としてカウントされていた。NCAAアカデミックスタンダードクリアのための効率的な単位取得行為はそもそもの学業成績基準設定の意図にそぐわない。一方、一部の選手はより良いオファーを狙って意図的に単位を満たさず高校5年目をプレーしていた。そのため、2012年、NCAAは当時の米国高校1年生(2016年高卒組)から中間基準と4年間の時間制限を設けた。その結果、カレッジアスリート志望者は高校1年次から計画的に勉学に励まなければならなくなった。
JUCO編入生
まず、短大編入生もNCAA D1/D2校にフルタイム学生として入学しなければならない。そして、一定数の編入先の四年制大学へ持越し可能な短大時代の取得単位数とGPAが必要になる。必要数は短大時代のステータス(クオリファー/アカデミックレッドシャツ/ノンクオリファー)や通学歴(1学期/2学期以上/卒業)で異なる。
4年制大学→短大→4年制大学の場合、アカデミックスタンダードは異なる。
クオリファー&ノンクオリファー
NCAA D1: クオリファー
高校生/PG生 | 短大編入生 | 短大編入生 |
フルタイム学生 高校卒業 10単位@7学期前 16単位(GPA2.3) | クオリファー@短大 a.フルタイム学生 b.引継可能12単位/期 c.引継単位GPA2.5 | 非クオリファー@短大 短大卒業&単位取得率25% 3学期以上通学 引継可能48単位取得 引継単位GPA2.5 |
クオリファーは大学初年度の「公式戦出場+練習+奨学金授受」を許可されている。
NCAA D1: アカデミックレッドシャツ
高校生/PG生 | 短大編入生 | 短大編入生 |
フルタイム学生 高校卒業 16単位(GPA2.0) | クオリファー@短大 a.フルタイム学生 b.引継可能12単位/期 c.引継単位GPA2.5 →1つ以上× | 非クオリファー@短大 短大卒業&単位取得率25% 3学期以上通学 引継可能48単位取得 GPA2.5未満 |
アカデミックレッドシャツは「奨学金受給(1年目)」「キャンパス内練習(1学期目)」のみ許可される。公式戦出場は不可だ。2学期目の練習参加の可否は学業成績次第となる。アカデミックレッドシャツ年度は1シーズン/大学1年としてカウントされない。
2012年、NCAAはパーシャルクオリファーをアカデミックレッドシャツとしてリニューアルした。基本的なルールは変わらない。唯一の違いはエリジビリティの消耗だ。パーシャルクオリファー年度は1シーズン/大学1年分としてカウントされていた。
NCAA D1: ノンクオリファー
高校生/PG生 | 短大編入生 |
フルタイム学生 高校卒業 16単位(GPA2.0) →1つ以上× | 非クオリファー@短大 短大卒業&単位取得率25% 3学期以上通学 引継可能48単位取得 →1つ以上× |
ノンクオリファーは大学初年度の「公式戦出場」「練習参加」「奨学金授受」を認められていない。そして、ノンクオリファー年度は1シーズン/大学1年分としてカウントされる。4シーズン目/大学5年目のプレー資格は在学中の成績次第となる。
NCAA D2: クオリファー
高校生/PG生 | 短大編入生 | 短大編入生 | 短大編入生 |
フルタイム学生 高校卒業 16単位(GPA2.2) | 1学期のみ学生 フルタイム学生 引継可能12単位/期 引継単位GPA2.2 | 2学期以上通学 フルタイム学生 引継可能12単位/期 引継単位GPA2.2 引継可能9単位/最終期 | 短大卒業生 フルタイム学生 単位取得率25% 引継可能9単位/最終期 |
クオリファーは大学初年度の「公式戦出場+練習+奨学金授受」が許可される。
NCAA D2: パーシャルクオリファー
現在、パーシャルクオリファーは存在しない。NCAA D2はパーシャルクオリファーをクオリファーに格上げした。
NCAA D2: ノンクオリファー
高校生/PG生 | 短大編入生 | 短大編入生 | 短大編入生 |
フルタイム学生 高校卒業 16単位(GPA2.2) →1つ以上× | 1学期のみ学生 フルタイム学生 引継可能12単位/期 引継単位GPA2.2 →1つ以上× | 2学期以上通学 フルタイム学生 引継可能12単位/期 引継単位GPA2.2 引継可能9単位/最終期 →1つ以上× | 短大卒業生 フルタイム学生 単位取得率25% 引継可能9単位/最終期 →1つ以上× |
パーシャルクオリファーは「練習参加」&「奨学金授受」を認められている。
ちなみに、学生アスリートは高校7学期前までに「NCAA D1→14単位(GPA3.0以上)」「D2→14単位(GPA2.5以上)」の成績でアーリークオリファーとして認められる。
エリジビリティの更新(大学2年目~)
- 大学2年目開始時
取得単位: 24単位
GPA: 現在籍校平均GPAの9割 - 大学3年開始時
卒業単位: 40%取得
GPA: 現在籍校平均GPAの9.5割 - 大学4年開始時
卒業単位: 60%取得
GPA: 現在籍校平均GPA - 大学5年開始時
卒業単位: 80%取得
GPA: 現在籍校平均GPA
学生アスリートは学期毎に自身の専攻の卒業単位と平均GPA程度を取得し続けなければならない。
学力不振の高校生の進路
ポスト-グラデュエート制度
- メリット
プレップ≠大学→エリジビリティ消費無し
春学期入学可(12月) - デメリット
要テストスコア(現在不要)
ポスト-グラデュエート制度は北米特有の高校卒業後の大学進学準備期間だ。学生は最大1年間プレップスクールやプレッププログラムに通って学業とスポーツに励める。そして、プレップスクールは大学では無い。そのため、ポストグラデュエート学年のシーズンはカレッジシーズンとしてカウントされない。また、春学期(12月中旬)入学からのシーズン後半からカレッジデビューも選択肢に入る。一方、2023年のテストスコア撤廃以前、学業不振者のPG進学は限られていた。「ポストグラデュエート学年→NCAA D1/D2校」進学は「高校→大学」進学の扱いだ。そのため、テストスコアが引き続き求められていた。
短大(JUCO)
- メリット
テストスコア不要 - デメリット
短大=大学→エリジビリティ消費有り
2023年のテストスコア撤廃以前、最大の定番ルートは短大進学だった。短大のエリジビリティは非常に緩い。例えば、高校”未”卒業者も短大でプレー可能だ。そして、何よりも最大の鬼門のテストスコアが不要だった。「短大→NCAA D1/D2校」進学は「大学→大学」編入となる。そのため、鬼門の学力テストの点数は求められない。必要な学業成績は短大の成績(+高校卒業資格)だけだ。しかも、概して大学の簡単な授業の単位取得は学力テストのスコア取得よりも簡単である。そのため、多くの選手はポストグラデュエートではなく短大を選んでいた。カレッジコーチも学力不足の高校生には大学2年目以降のスポーツ奨学金内定を条件に短大進学を提案していた。一方、短期大学は大学だ。つまり、短大のシーズンと在学年数はNCAAのエリジビリティとしてカウントされる。
高校留年
そして、高校留年(卒業保留)も選択肢として存在する。普通の高校の場合、全米高校体育協会(NFHS)と州高校体育協会のルールの下、大半の留年生はプレーシーズン数からプレーできない。一方、現在の米国の強豪校やプレッププログラムは独自にスケジュールを組んでいる。そのため、20歳の高校生もちょいちょい存在する。
学校の独自基準
一部の大学はNCAAの基準以上の学業成績基準を設けている。そして、高い基準がリクルートの壁となっている。例えば、ミシガン大学は編入生に厳しい。2023年、ケイレブ・ラブの編入も単位不足で幻に終わった。前2022年のテレンス・シャノンJrや翌2024年のジョネル・デイビスのリクルート失敗も学業的理由と噂されている。また、ノースウェスタン大学も高い学業成績基準からリクルートを制限されている。
- スポーツポイント→公式オンラインストア
- 楽天ポイント→楽天市場店
- PayPayポイント→Yahoo!店
- Pontaポイント→au PAY マーケット店
購入場所は狙いのポイントサービスで決めよう!
エリジビリティ条件3: アマチュアステータス
プロ行為1: 自身の競技力を活用しての金品授受
ペイ・フォー・プレー(禁止)
- 有給プロ契約
契約金/出場給/ボーナス等 - 大会入賞賞品/個人賞
優勝賞品/景品の授受
最も代表的なプロ行為がペイ・フォー・プレー(Pay for Play)だ。NCAAは競技者が自身の競技力を活かして金品等を受け取る行為をプロ行為(=非アマチュア=選手資格無し)と定義している。
2021年にサンノゼステイト大学のリチャード・ワシントンがオフシーズンに3on3の大会に出場して多少の金銭を受け取ったことで2021-22シーズンの出場停止を言い渡されている。
NIL(問題無し)
2021年7月、NIL(Name-Image-likeness)が解禁となった。NILは自身の知名度、ルックス、キャラクター、好感度、発信力等活用のマネタイズだ。例えば、選手は商品のイメージキャラクターを務めたり、自身のSNSで商品のプロモーション活動を手伝ったり、あるいはシューズディールを結んで対価を得ることができる。つまり、選手は競技力の活用以外の方法での金銭の授受や稼業をできるになった。
スポーツ奨学金/アマチュア契約(必要費以内可)
- 衣食住: 食費/寮費/宿泊費
- 医療系: 医療費/保険
- 練習&試合: 衣料費/移動費/施設使用料/指導料金/参加費
競技必要費の受取りや肩代りが許容されている。つまり、スポーツ奨学金の授受やアマチュア契約(無給)は問題無い。
プロ行為2: 代理人
スポーツ代理人
学生アスリートは”自身の競技力宣伝”目的のスポーツ代理人契約を禁じられている。スポーツ代理人(会社)は選手-企業の契約交渉の代行業者だ。一方、スポーツ代理人は「悪徳な契約の回避」と「競技と学業への専念」のためにはアスリートにとって不可欠な存在だ。そのため、2018年以降、NBAドラフトエントリー者はNBAドラフト期間中にのみNCAAとNBPA認定代理人とのエージェント契約を認められている。2017年以前、NBAドラフトエントリー者はNCAAの選手資格の維持にエージェント契約無しでNBAドラフトプロセスに臨まなければならなかった。2022-23、デイミオン・バウは非公認エージェントとの契約で6試合の出場停止処分を科された。同期間中の必要経費以上の金品の授受は禁止だ。
以前、学生アスリートはスポーツ代理人との契約はご法度だった。実際、2020-21、シャリーフ・クーパーは父親がスポーツ代理人だったためにNCAAの調査が入って開幕数カ月間エリジビリティを停止されている。
NIL代理人
2021年7月1日、NIL業務の代理人との契約は解禁となった。一応、ルール上、あくまでも商談内容はNILに限定されている。一方、多くのNIL代理人はスポーツ代理人である。つまり、スポーツ代理人との契約が実質的に解禁されている。
その他の代理業者
- リクルーティング/スカウティング業者
- 求人
- 法律相談
学生アスリートは「進学」「キャリア(就職)」「法律相談」でエージェントサービスを活用できる。
プロ行為3: プロチームとの関わり
- トライアウト受験(入学前&後)
- 練習参加(入学前&後)
48時間/チーム - 試合
vs.プロチーム試合(入学前&後)
プロ選手のチームメイトとして試合出場(入学前&後*)
*プロアマリーグ/国代表のみ可
近年、NCAAは「プロとの関わり」は非常に寛容になっている。唯一の禁止事項は必要費以上の受取りだけである。特に大学入学前は緩い。中高生はアマチュア契約の場合はNCAAのエリジビリティを保持したままプロチームで活動できる。実際、ケイン・ロバーツ選手と山之内ウィリアムス選手は東京アースフレンズZからNCAA D1校に進学している。一方、学生アスリートは大学入学後も「NBA/Gリーグのドラフトコンバイン」「プロチーム/スポーツ代理会社の練習」「選手主催の公開練習」「国代表活動」等に参加できる。NCAA認可のプロアマリーグへの参加も可能だ。
以前、学生アスリートはプロチーム/選手との関わりでエリジビリティを危ぶまれた。実際、2015年、タヒロウ・ディアバテ選手のアルビレックス新潟の練習参加予定が進学予定先のポートランド大学側の同選手のアマチュアステータス喪失の可能性を懸念しての要請によって急遽中止となっている。
その他
カンファレンスルール
- 大学院生禁止/アイビー・リーグ
- パーシャルクオリファー制限/複数
カンファレンスルールも存在する。最も有名な例がアイビー・リーグの大学院生プレー禁止だ。NCAAは大学院生のプレーを許可している。例えば、「大学3年卒業」「大学4年卒業(1シーズンレッドシャツ)」「大学3年卒業(1シーズンレッドシャツ)の学生は残留シーズン分のエリジビリティを大学院生としてプレーできる。実際、渡辺飛勇選手はポートランド大学を3年で卒業し、カリフォルニア大学デイビス校で大学院生としてプレーした。一方、同リーグは学業要視の姿勢で大学院生のプレーを禁じている。そのため、アイビーリーガー達はカレッジキャリア引退or他カンファレンスの大学院進学を迫られる。例えば、2020年、セス・タウンズとブライス・エイケンはハーバード大学卒業後に2020-21をそれぞれオハイオステイト大学とシートン・ホール大学の大学院生としてプレーした。
2021-22、アイビー院生はコロナ起因のシーズン中止の救済として例外的にプレーを許可された。アイビー・リーグは2019-20の終盤と2020-21全てを休止していた。一方、2024年、元アイビーリーガーのクリス・リドラムとジョーダン・ディングルはNCAAに2020-21分のエリジビリティ付与を断られて訴訟を起こしている。
フレッシュマンルール
NCAAは1922~1972年まで1年生のバーシティチーム戦出場を禁じていた。当時、フレッシュマン達はフレッシュマンチームorジュニアバーシティチーム(2軍)で練習と試合に臨んでいた。その後、同ルールは「フットボールとバスケットボール以外で廃止(1968年)」→「小規模大学のみバスケットボールのフレッシュマン起用解禁(1971年)→「完全撤廃(1972年)」の流れで廃止された。
NCAA D1校はフレッシュマンルール撤廃に伴ってJVチームを廃止した。現在、NCAA D1のJVチームはノースカロライナ大学位だ。一方、JVやフレッシュマンチームは「NCAA D2/D3校」「NAIA校」「短大」「プレップ」「中高」では普通に存在する。
JR・スミスのエリジビリティ付与
2021年、NCAAは元NBA選手JR・スミスのゴルフのエリジビリティを認めた。同選手は高校卒業から約15年のNBAキャリアを終えてノースカロライナ・A&T・ステイト大学に入学している。
トランスジェンダー選手問題
トランスジェンダー選手のエリジビリティも問題になっている。現在、約半数の州はトランスジェンダー選手の女性としての選手資格に染色体、ホルモン、テストステロン値を求めている。NCAAはトランスジェンダー選手に寛容な態度をアピールしながら州法の改正への積極的な行動をしていない。
タイムライン
http://fs.ncaa.org/Docs/eligibility_center/International_Information/International_Guide.pdfNCAAアカウントの作成
- 学業&アマチュア証明
→NCAA D1&D2校 - アマチュア証明
→NCAA D3(留学生)
NCAA D3校(留学生)
米国の大学への留学方法
米国の大学への進学は一般的に「エッセイ(自己PR文)」「高校の成績(GPA)」「テストスコア(TOEFL/SAT/ACT等)」「推薦状」「銀行口座の残高証明書」が求められる。エッセイは「高校生活で何を頑張ってきたか」「大学で何を学びたいか」「将来の夢」等の自己アピール文である。高校成績は日本の高校の10段階評価をGPAに換算する。テストスコアは英語力の証明としてよく求められる。時に推薦状も必要だ。一方、大半の日本の高校教員は米国の大学の正規入学の方法を知らないだろう。実際、俺の場合(公立高校→米国四年制大学卒業)も「提出物: 高校の担任教諭が留学エージェントのサンプルを参考に作成」「エッセイ/テスト/面接: 留学エージェントの対策講座」「奨学金獲得(合計500万円程度): 留学エージェントのコネ」でやり遂げた。詰まる所、留学は留学エージェントが必須だ。相談だけでも思いもよらない案の教示で価値はある。
実は多くの留学エージェントは東南アジアの語学学校しか取り扱っていない。そんな中、上記の通り、留学情報館は多様なパターンの留学に対応している。最近は「短大→名門大学編入」や「海外出稼ぎ」等のサポートもある。留学先も北米-オセアニア-欧州等様々だ。そして、カウンセリングは無料だ。
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NCAA基礎講座
大学一覧
バスケ留学解説
NCAAの視聴方法
参考
【全体】
2022-23 NCAA Division 1 Manual(ncaapublications.com)
NCAA Guide for the College-Bound Student-Athlete 2022-23(fs.ncaa.org)
Summary of NCAA Regulations NCAA Division I 2011-12(fs.ncaa.org)
【時間制限】
Akoy Agau transfers to Georgetown(espn.com)
Official Hoya statement on Agau(sports.yahoo.com)
Akoy Agau(gocards.com)
How 2 College Basketball Players Ended Up With 6 Years of Eligibility(nytimes.com)
Texas Southern grad transfer Zach Lofton signs with NMSU(lcsun-news.com)
Report: Zach Lofton will transfer from U to Texas Southern(startribune.com)
Minnesota dismisses transfer guard Zach Lofton(si.com)
This is how a college football player gets 7 years of eligibility(sbnation.com)
DI Council extends eligibility for winter sport student-athletes(ncaa.org)
Initial-eligibility status terms(ncaa,org)
At Top Athletics Programs, Students Often Major in Eligibility(chronicle.com)
Seth Towns enters portal ahead of 8th college hoops season(espn.com)
【学業基準】
Summary of Key NCAA Regulations − NCAA Division I 2022-23(ncaaorg.s3.amazonasws.com)
Summary of Key NCAA Regulations − NCAA Division I 2021-22(ncaaorg.s3.amazonasws.com)
NCAA task force backs removal of standardized test score requirement(ncaa.org)
New eligibility standards on the way(espn.com)
Eligibility vs. academic preparedness(espn.com)
Does a PSA need to submit a standardized test score to the NCAA?(ncaa.egain.cloud)
Division II Initial-Eligibility Changes(fs.ncaa.org)
Want to Transfer?(ncaa.org)
Difference Between Prep School and JUCO: For Athletes(prolimitathletics.com)
【アマチュアステータス】
San Jose State basketball will be without Richard Washington after the NCAA handed down a season-long suspension(mwwire.com)
Tips for Recruiting/Scouting Services(fs.ncaa.org)
NBA Draft Rule Changes Explained: The New System for Hiring Agents and Returning to School(si.com)
What’s Really to Come From the NCAA’s Student-Athlete Agent Announcement?(si.com)
TCU’s Damion Baugh serving 6-game ban for signing with agent(espn.com)
Sources: Auburn Tigers’ Sharife Cooper awaits NCAA eligibility ruling(espn.com)
Pearl: Top Auburn recruit not yet declared eligible by NCAA(apnews.com)
Freshman guard Sharife Cooper practicing with Auburn again(auburnwire.usatoday.com)
[2017.01.26] ディアベイト・タヒロウ選手の練習参加について(albirex.com)
【その他】
Ivy League allowing one-time waiver for grad students to play in 2021-22 due to COVID-19 pandemic(espn.com)
St. John’s Chris Ledlum and Jordan Dingle suing NCAA for denying them 2024-25 eligibility(apnews.com)
Nearly 550 College Athletes Demand NCAA Pull Championships From States With Anti-Trans Sports Legislation(si.com)
FRESHMEN GIVEN VARSITY STATUS IN MAJOR SPORT(nytimes.com)
Timeline – 1920s(ncaa.org)
NCAA Rules J.R. Smith Eligible to Play Golf for North Carolina A&T(si.com)