NBAドラフト2020の指名順位の妥当性を語る(ロッタリー候補編)

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※全て参考文献付き

B.I.B.T.(Bro Institute of Ball&Trip)は「より多くの人々に本場アメリカのバスケ(現地観戦、ピックアップゲーム、留学&etc)の楽しさを体験してもらう」を目標に北米のバスケ界隈の解説&紹介を行っているサイトだ。主なコンテンツは上記の通りである。そして、今回の記事はアメリカのバスケ界隈のニュース解説になっている。もし同記事が何かしらの役に立てば幸いだ。

はじめに

評価基準

即戦力(人気込み): ルーキー契約の間に活躍できるか?

1つ目の評価の基準は「ルーキー契約(3~5年)中に結果が出せるか」の即戦力度だ。と言うのも、NBAチームにとってのドラフトの旨味は既に実力や人気がある選手を格安で獲得できることにあるからだ。各球団は中堅以降の選手には実力に応じた契約を結ばなければならないが、ドラフトで指名した選手には最大でも10億円弱/1年程度のサラリー(ルーキー契約のサラリーはサラリーキャップと指名順位に応じて決まる)で使い倒すことができる。故に、即戦力度は人気も混みの評価だ。と言うのも、人気のある選手はコート上で活躍できなくてもグッズやチケットのセールス面で貢献できるからである。

伸びしろ: オールスター以上の可能性

2つ目の評価基準が、説明する間でも無いが、伸びしろだ。

地雷度: バストになる可能性

そして、3つ目が地雷度だ。地雷度はバスト(期待外れ)になる可能性の意味である。グレッグ・オデンやアンソニー・ベネットのようにスターになれないどころかロールプレーヤーとしても指名されたチームに貢献できなかった選手は地雷度が高く、一方、仮にスターになれなかったとしてもチームの主力としての活躍は見込めそうな選手は地雷度が低い。

各順位の妥当性

各順位の妥当性
  • 1~3位: NBAオールスター以上の期待ができる選手
  • 4~7位: ワンチャン夢がある選手
  • 8~14位: チームの主力以上

各順位の妥当性は以上の通りだ。1~3位はオールスター以上の期待ができる選手、4~7位は地雷度も高いが夢がある選手やスター性こそ薄いが安定した選手等ワンチャンス化ける可能性を残している選手、そして、8~14位はチームの主力以上が期待できる選手とした。

妥当順位: 1~3位

ラメロ・ボール: ハイリスクハイリターン案件

結論

予想順位: 1~3位
妥当順位: 1位
即戦力: ★★★★★
伸びしろ: ★★★★★
地雷度: ★★★★
将来像: NBAの次世代スター
比較: デカいトレイ・ヤング

ラメロ・ボールは「ハイリスク、ハイリターン」案件だ。一般的なスカウティングレポート通り、ボールは201㎝のハンドラーだ。パスセンスもピカイチでドライブのコース選択で不可解なことも少ない。


しかも、ボールはNBA向きのメンタルを持ち合わせている。親父に仕方なく連れて行かれたとは言え、ボールは15歳で見知らぬ土地ラトビアのプロリーグでプレーし、その後地元カリフォルニア州から遠く離れたオハイオ州の高校に編入、高校卒業後はオーストラリアへと渡った。海外リーグ経由のプロスペクトは途中で帰国するケースも多い中、ボールは両国で数十試合をプレーした。不満が公になったことも無い。


加えて、弱点とされている軽さや身体能力の低さはウェイトトレーニング等で改善できるので重要な問題ではない。


最も問題なのはスリーポイントシュートだ。NBLでの2019-20は25%だった。もし3年目以降も引き続き30%程度の確率だった場合、ボールはただのコスパの意悪いハンドラーだ。しかも、ボールはオンボール時にしかコートにいる意味がないプライムハンドラータイプの選手だ。故に、NBAで通用しなかった場合、ボールはロールプレーヤーとしてのセーフティネットを通り抜けて全く役割の無い底辺まで墜落する可能性が高い。


さらに、懸念されているのはボールの成熟度だ。複数のチームがボールとの面談でその点を懸念したと報じられている。未熟さは彼のディフェンスへのコミット率の低さが体現していると言われている。加えて、ボール一家を追ったドキュメンタリーでもラメロの未熟な部分は明らかになっている。


しかし、ボールは度々難易度の高いショットやフローターを決めていることからシュートのセンスが無い訳では無く、シュート全般の改善は期待できる。故に、ボールがルカ・ドンチッチやトレイ・ヤングと肩を並べて次世代のNBAスターになる可能性も考えられる。結論、ボールには全体1位指名に十分に値する価値がある

ジェームス・ワイズマン: オールスターは確実だが?

結論

予想順位: 1~3位
妥当順位: 1位
即戦力: ★★★★★
伸びしろ: ★★★
地雷度: ★
将来像: 不人気オールスター
比較: アンドレ・ドラモンド

ジェームス・ワイズマンは最も固い指名だ。ワイズマンにはアンソニー・デイビス、ルディー・ゴベア、バム・アデバヨのポテンシャルが秘められている。同期の中で最もオールスターになれる可能性が高い。


しかし、問題なのは今がビッグマンの時代ではないことだ。NBAを代表するビッグマンですらもチームを牽引する存在ではない。例えば、デイビスは2018-19までの6シーズンをペリカンズのエースとして活躍していたが、デイビスがペリカンスをプレーオフに導いたのは僅か2回、50勝シーズンは無く、しかも、ADの加入でペリカンズの人気が爆上がりすることも無かった。ゴベアとアデバヨに至ってはNBAを代表する”センター”ではあるがNBAを代表する”選手”では無い。


つまり、もし仮に超理想通りに成長したとしても、ワイズマンがチームを勝利に導くとは考えにくい。故に、指名自体は否定しないが、NBAオールスター以上の期待は禁物だ。

キリアン・ヘイズ: 現代バスケの申し子

結論

予想順位: 5~8位
妥当順位: 3位
即戦力: ★★★
伸びしろ: ★★★
地雷度: ★★★
将来像: オールスター当落線上
比較: タイラー・ヒーロー

キリアン・ヘイズは現代バスケに滅茶苦茶ハマっている選手だ。ヘイズはプルアップでもキャッチ&シュートでもスリーを決めることができる。相手のプレーを読む能力もある。現時点ではラメロ・ボールよりも精工だ。だから、個人的に全体1位指名もアリだ。


しかし、ヘイズがアメリカのマスキュリニティ(男らしさが正しいという価値観)を根底としたNBAの強度に耐えられるかに疑問が残る。例えば、プレーオフでマーキフ・モリスの執拗なトラッシュトークとハードファールに耐えながらパフォーマンスを維持できるか?ジミー・バトラーのディフェンスを40分振り切れってチームを勝利に導けるか?答えはNoだ。


結論、ヘイズはバスケのセンスは抜群に良いが、エースとしてチームを勝たせられる程の分厚さは無い。ただ、ボストン・セルティックス、トロント・ラプターズ、マイアミ・ヒート等、最近では選手では無くコーチに依存したチームが台頭している。プレーオフで上昇する強度を選手個人が対処するのでは無く、コーチのタクティクスで上手く取り払うことができれば、ヘイズがプレーオフで活躍することもできるはずだ。

プレシャス・アチューワ: 2ウェイプレーヤーのポテンシャル

結論

予想順位: 8~10位
妥当なライン: 1位
即戦力: ★★★
伸びしろ: ★★★★
地雷度: ★
将来像: 2ウェイプレーヤー
比較: パトリック・シアカム

プレシャス・アチューワは2ウェイプレーヤー(攻守ともに優れた選手)の可能性を秘めている。アチューワはメンフィス大学はワイズマンがNCAAに出場資格を剝奪されたためにビッグマンとしてプレーしていたが、元々はフォワードだったためドリブル突破やガードやウィングにスイッチも実はできる。しかも、ブルーカラーワーカーの精神がある。


一方でアチューワには致命的な弱点が無い。シューティング、スキル全般、身体能力が高い訳では無いので、もしかしたらもしスターになれなかった場合でもアル-ファルク・アミーヌ、マービン・ウィリアムス、マイケル・キッド-ギルクリストのようなソリッドプレーヤーとして一定の活躍は保証されている。

妥当順位: 4~7位

アイザック・オコロ(5~8位): ソリッドデェフェンダー以上になれるか?

結論

予想順位: 5~8位
妥当なライン: 5位
即戦力: ★★★★
伸びしろ: ★★★
地雷度: ★
将来像: ソリッドディフェンダー
比較: 少し大きいマーカス・スマート

アイザック・オコロは固い指名になるはずだ。と言うのも、オコロはディフェンスに優れているからである。オコロはマーカス・スマートのようなディフェンスの意識の高さもさることながら、ハンドチェック、フットワーク、ブロックに飛ぶタイミングといったスキルも持ち合わせている。


一方、オフェンスはNBAで傑出できる程の才能は見られない。現にドラフト時に同期のNo.1ポイントガードと評されたマーカス・スマートは今の所はディフェンスの選手に留まっているし、他にもアマチュア時代はスコアラーとして名を馳せながらNBAで通用したのはディフェンスだけだった選手は枚挙に暇がない。オコロも例に漏れずディフェンスのスペシャリスト or ディフェンスが軸のウィングで終わる可能性はある。


結論、オフェンス力に乏しいオコロにフランチャイズプレーヤーになることを期待するのは危険だ。例えば、チームの将来の顔と呼べる選手のいないシャーロット・ホーネッツやデトロイト・ピストンズが彼を指名するのはやめたほうがいい。故に、オコロはオールスター出現度が25%程度に落ち込む7位からが妥当だ。

タイリース・ハリバートン: シュートセンスは賭ける価値有り

結論

予想順位: 5~8位
妥当なライン: 5位
即戦力: ★★★
伸びしろ: ★★★
地雷度: ★★★
将来像: 「高校の時は期待されていたのに…」ローテーション外
比較: 無し

タイリース・ハリバートンもデニ・アブディージャと近い理由でNBAでは成功できない。NBAで成功を収めるタフさがない。しかし、ハリバートンはシュートセンスがある。仮にスターにならなくてもシューターとしての起用も見込めるため、バストは避けられる可能性が高く、5位指名以降ならアリだ。

アンソニー・エドワーズ: 勝てないスコアラー

結論

予想順位: トップ3
妥当ライン: 6位以降
即戦力: ★★★★
伸びしろ: ★★★
地雷度: ★★★
将来像: チームを勝利に導けないスコアラー
比較: 小さいマイケル・ビーズリー

アンソニー・エドワーズは最高でも準オールスターで終わる。シューティングが悪い。例えるならば、マイケル・ビーズリーやジェフ・グリーンの小さい盤だ。


キャリア初期の期待されている頃はボールを持たせてもらえるためにそこそこ得点は伸びるだろうが、次第に効率の悪さから移籍を繰り返し、キャリア後期はベンチから登場するインスタントスコアラーとなり、最終的にはCBAで大量得点をするパターンだ。


但し、エドワーズはそこそこ人気がある。故に、期待されている1~3年目以内のチームのセールスを上げるために獲得するのはアリだ。その後、期待感が残っている内にトレードの駒として売り抜けば

オビ・トッピン: 時代錯誤のPF

結論

予想順位: 5~7位
妥当順位: 7位
即戦力: ★★★★
伸びしろ: ★★
地雷度: ★★★★
将来像: 不器用なダンカー
比較: ジョシュ・スミス

オビ・トッピンは7位以降が妥当だ。理由は「ただただ人気があるから」である。トッピンは身体能力の高さ故にアマレ・スタウダマイヤーと比較されるが、スタウダマイヤーは全盛期にチームメイトにナッシュがいなかった場合にどれだけ通じていたかかがそもそもの疑問だし、現代のスタイルでは尚更厳しいはずだ。身体能力の高い選手はわざわざ高順位で指名する必要も無い。


しかし、トッピンはスタウダマイヤーとは違ってスリーも打てなくはない。が、俺はジョークだと思っている。故に、ジョシュ・スミスが最も近い。


但し、派手なプレースタイルで人気が出る可能性が高いので、人気の無いフランチャイズがファン獲得のために指名するのは理解できる。

デニ・アブディージャ: ドンチッチ×へゾニア〇

結論

予想順位: 3~8位
妥当なライン: 7位
即戦力: ★★
伸びしろ: ★★
地雷度: ★★★★★
将来像: NBAに馴染めていないユーロスター
比較: 細いマリオ・へゾニア

デニ・アブディージャは平均的な選手で終わる。アブディージャはルカ・ドンチッチと比較されているが、ドンチッチよりも2015年1巡目5位指名のマリオ・へゾニアに限りなく近い


レアルマドリード時代、ドンチッチはチームをスペインリーグ優勝のみならず、ユーロリーグ制覇に導いていたが、アブディージャはイスラエルリーグでは活躍していたものの、ユーロリーグでは僅か平均14分、4P、2R、1.2Aとヨーロッパの強豪クラブを相手には実力不足を露呈していて、その点においてはスペインリーグでは活躍するもユーロリーグではダメだったへゾニアと共通しているのだ。


しかも、アブディージャもアメリカの価値観に馴染めるかも疑問だ。故に、個人的に指名は無しなのだが、今年の不作を鑑みれば、7位は仕方ない。

妥当順位: 8~14位

パトリック・ウィリアムス: 固い指名だが…

結論

予想順位: 9~14位
妥当順位: 13位
即戦力: ★★★
伸びしろ: ★★
地雷度: ★
将来像: ソリッドプレーヤー
比較: 少し大きいマーカス・スマート

パトリック・ウィリアムスは端から逃げの指名だ。指名自体は固いかもしれないが、NBAオールスターポテンシャルがほぼ皆無と言っても良いウィリアムスをNBAオールスターが出てくる10位前後で指名するのに勿体無さは否めない。もしソリッドプレーヤーが欲しいのであれば、下位指名やドラフト外から原石を探せば良い。12位以内でのウィリアムスの指名はスカウティングの怠慢だ。

デビン・バセル: トレンドによる過大評価

結論

予想順位: 9~14位
妥当順位: 13位
即戦力: ★★★
伸びしろ: ★★
地雷度: ★★★
将来像: ロールプレーヤー
比較: 少し小さいコーリー・ブリューワー

デビン・バセルもパトリック・ウィリアムスとほぼ同じだ。バセルは現代バスケにマッチした3&Dタイプの選手だ。しかし、チームの第1オプションであったにも関わらず僅か平均12点のバセルが主力選手以上の成長は見込めない。13、14位での指名は理解できるが、それでも逃げの指名になることは否めない。

妥当順位: 15位以降

オニェカ・オコング: 未完のまま終わる

結論

予想順位: 8位前後
妥当順位: 2巡目
即戦力: ★★★
伸びしろ: ★★
地雷度: ★★★★★
将来像: 未完の大器
比較: アル-ファルク・アミーヌの出来損ない

オニェカ・オコングーは7、8位で指名する価値はあるかもしれない。と言うのも、オコングはロッタリーピック候補者内で唯一の腕が長いタイプの選手だ。同タイプには常人では無いNBA選手ですら届かない高さのプレーで観客の度肝を抜かすヤニス・アンテトクンポやジョナサン・アイザックがいるが、オコングーは最高でもアル-ファルク・アミーヌ程度で終わる。つまり、指名する価値はあるが、成長するとは思わない。

おわりに

まとめ: 俺の推し

俺の推し(=NBAオールスターになると予想している選手)はラメロ・ボールとプレシャス・アチューワだ。ボールはルカ・ドンチッチやトレイ・ヤングといった次世代のNBAをリードする存在、アチューワはNBAオールスターになると期待している。強いて挙げるならば、アイザック・オコロもお気に入りに近い。

おまけ: 頑張ってほしい選手

Honorable Mention
  • ジェイレン・ハリス: 廉価版CJ・マカラム
  • カシウス・ウィンストン: 大統領に値する統率力
  • スカイラー・メイズ: アンドレ・ミラーの再来
  • ティリアン・キリー: ストレッチ4
  • ペイトン・プリチャード: JJ・バレアとフレッド・バンフリートのハイブリッド

ロッタリーピック外で頑張ってほしい選手は以上だ。

参考

NBA Draft 2020 Best Remaining Players – ESPN Draftcast(espn.com)
How Likely Is Each Draft Pick to Someday Make an All-Star Team?(threesandlayups.com)
2020 NBA Draft: LaMelo Ball performing poorly in interviews with teams, per report(cbssports.com)
LaMelo Ball Donating Month’s NBL Salary to Australian Wildfire Relief(bleacherreport.com)
Luka Doncic International Stats(basketball-reference.com)
Mario Hezonja International Stats(basketball-reference.com)
Deni Avdija International Stats(basketball-reference.com)

全コンテンツは以下の見地に基づいている。

1. Bro
批判的思考
(×好き嫌いや感情論)
2. Investigator
徹底的な調査
(×妄想や思い込み)
3. Nerd
幅広い知識と視点
(×薄っぺらい受け売り)

俺達はこれをもってしてバスケに対するロイヤリティを示す。

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