【NCAA】カレッジバスケ解説: ブラケットロジー(勝ち上がり予想)

うい。現地観戦研究家のB.O. BROS(@b_o_bros)だ。


最初に断っておくが、本来、このブログはバスケオタクが低予算で現地観戦を達成するためのガイドブックである。


ただ、カレッジバスケは何の予備知識も無しには楽しめないし、NBAと比べてプレーの質が遥かに劣る試合を観に行く気にはなれないと思う。


と言うことで、この度、NCAA基礎講座」と題してアメリカのカレッジバスケについて解説&紹介することにした。


これらの記事で基礎知識を身に着けて、自分の好奇心の赴くままに歴史、コーチのスタイル、戦術、各大学のカルチャーetcをディグり、最終的に現地を訪れてもらえれば幸いだ。

おそらく、日本人の99%がNCAAを見る理由はNBAプロスペクトのチェックだと思う。そして、昔の俺達がそうだったように、NBAと比べて格段に拙いカレッジの試合に退屈さを感じているはずだ。


確かにNBAに比べればカレッジの試合はかなり退屈だ。選手達のスキルは低いし、多くの選手やコーチも全く知らないわけだから尚更つまらないと思う。


しかし、知っての通り、アメリカではマーチマッドネスと呼ばれる位、毎年NCAAトーナメントは非常に盛り上がっている。


なぜなら彼らは勝ち上がりを予想しているからである。勝ち上がりを予想することこそがカレッジフープスの神髄なのだ。言い換えれば、NBAプロスペクトのチェックは本当の楽しみ方では無いのだ。だから、つまらないのは当然である。


と言うことで、今回はカレッジフープスの神髄であるブラケットロジーについて紹介する。

ブラケットロジー

基本情報

Bracket + ology = Bracketology

bracket…トーナメント表(NCAAトーナメント)の意
-ology…学問等を意味する接尾辞

ブラケットロジー(bracketology)とはNCAAトーナメントの出場校や勝ち上がりを予想することだ。ブラケットロジーはトーナメント表を意味するブラケット(bracket)と学問を意味する接尾辞(-ology)が組み合わさった造語だ。ブラケットロジーを嗜んでいる人々はブラケットロジストと呼ばれている。

予想1: 出場校の予想

ブラケットロジーの予想の1つが出場校の予想だ。NCAAトーナメントに出場するための条件は「カンファレンストーナメント優勝」or「選考委員会からの招待」なのだが、後者の選考委員会の招待を受けるのはどこかを予想するのがブラケットロジーの楽しみの1つとなっている。


特に盛り上がるのはバブルチーム(Bubble Team)と呼ばれる当落線上のチームの予想だ。バブルチームの中でギリギリ合格するチームはラストフォーイン(Last Four In)、ギリギリ不合格となるチームはファーストフォーアウト(First Four Out)と呼ばれていて、各スポーツメディアのブラケットロジスト達は上記のツイートの様に各々のバブルチーム論を展開している。


一方、レギュラーシーズン終盤からは上位シードの話も出てくる。NCAAトーナメントでは全68校が16~18チームずつの4地区に分かれてホームでもアウェイでも無い場所で試合を行うのだが、キャンパスに近い地区の高いシード順位になることが大会を勝ち上がるのに重要になるのだ。第1シードが濃厚なチーム群はティアワン(Tier 1)、第2シードが濃厚なチーム群はティアツー(Tier 2)と呼ばれ、こちらもブラケットロジスト達が持論を語り、大いに盛り上がる。

予想2: NCAAトーナメントの勝ち上がり予想

CBB: President Obama Fills in his 2012 Bracket

そして、最大の肝となるのがNCAAトーナメントの勝ち上がり予想だ。NCAAトーナメント表は3月中旬の日曜日にTV放送で一気に発表される。このセレクションサンデーからNCAAトーナメントの1回戦が始まるまでの5日前後の間で人々はNCAAトーナメントの勝ち上がりを予想する。


予想で最も重要視されるのは準決勝戦に進むカード(ファイナル4)までだ。ファイナル4以降はやや惰性気味である。


ちなみに、バスケ好きで知られるバラク・オバマは毎年自身のブラケットをTV放送で発表していて、任期を終えた現在でもSNS等で自身のブラケットを公開している。

ブラケットチャレンジ

勝ち上がり予想コンテスト

毎年、全米各地ではブラケットチャレンジ(Bracket Challenge)と呼ばれる勝ち上がり予想コンテストが行わている。NCAA、ESPNなどのスポーツメディア、スポーツギャンブルサイトは勿論、バスケットボールとは無関係のスーパーマーケットや町の床屋なども開催している。


ブラケットチャレンジでは最も予想率の高かった人やパーフェクトブラケットを作った人には賞金や賞品が与えられる。賞金は$100万、リゾートツアーチケット、はたまたその店で使える5%引きのクーポンまで様々だ。


日本在住の日本人でも気軽に参加できる。ブラケット発表日から1回戦開始までの間、各社がブラケットチャレンジの特設サイトをオープンする。やり方はGメールアカウントやFacebookアカウントでログインして各サイトでブラケットを埋めるだけだ。参加は一部掛け金を必要とする場所もあるが、NCAA、ESPN、Yahoo Sportsなど大手は無料だ。


ちなみに、投資家のウォーレン・バフェットは自社のバークシャー・ハサウェイの従業員向けにブラケットチャレンジを開催し、2018年度では精度の高かった8名が賞金$10万を分かち合った。

ブラケットロジーの面白さ

Texas A&M's massive comeback in final minute of 2017 NCAA tournament

ブラケットロジーが面白い理由はシンプルに感情が揺れ動かされるからである。


と言うのも、カレッジでは本当に何が起こるか分からない。だから、普段感情の起伏が少ないサイコパス傾向のある俺達ですら1プレーや1試合の結果に謎のダンスを始めたり、無神論者にも関わらずOh My Godと叫んだり、情緒が不安定なヤバい奴になる。


NBAでは終盤にリードしているチームが勝ちを取りこぼすことはほとんど無い。NBA選手にはダブルチームを切り抜けるスキル、フリースローを80%以上で成功させる決定力、時間を有効に使うタイムマネジメント力があるため、負けているチームがトラップやファールゲームを仕掛けてもほぼほぼ意味をなさない。


しかし、NBA程の修練されたスキルを持たない大学生達にはトラップやファールゲームが高確率で効果を発揮する。残り1分で7点リードを溶かすなんてのはザラだ。上の動画では残り45秒で12点リードを奪っていたノーザンアイオワ大学がアレックス・カルーソ率いるテキサスA&M大学に延長戦に持ち込まれて結果的に敗退を喫している。


この未熟さ故のワイルドさによって引き起こされる感情の起伏がカレッジフープスの魅力である。


そして、ブラケットロジーは金(少額で良い)とプライドを掛ければより盛り上がれる。金はギャンブルサイトでブラケットチャレンジをすれば良いし、プライドは自身のブラケットをSNSで自信満々に公開すれば良い。実際、俺達はTwitterとブログで自身のブラケットを公開している。失うものがある分、1プレーや1試合の結果に一喜一憂することができるのだ。

観戦方法

有料

ESPN Player($13.99/月)

ESPNプレーヤー(ESPN PLAYER)は東アジアの住人がカレッジフープスを観戦できる数少ない手段の1つだ。全試合がストックされている訳では無いが、ライブストリーミングとアーカイブで見られて、ハイメジャーのみならずミッドメジャーやローメジャー校の試合もそれなりにあるので、俺個人としてはこれで事足りると思う。唯一の難点は試合をダウンロードができないこととそのシーズンの試合以外は見られ無いことだ。

ESPN Player: Watch live and on demand sports video online

FloHoops($12.50/月)

フローフープス(FloHoops)はコロニアル・アスレティック・アソシエーション(CAA)の試合をどうしても見たければ登録する必要がある。CAAとはテーブス海選手が通っていたノースカロライナ大学ウィルミントン校などが所属するミッドメジャーカンファレンスの1つだ。ブラケットロジーの観点からすれば登録する必要は無いが、高校バスケ、Jr. NBA、ユーロリーグなども放送しているので、カレッジフープス以外も興味があるのであれば登録するのも良いと思う。

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無料

Stadium

スタジアム(Stadium)はライブストリーミングで試合を放送している。

Stadium - Your source for sports news and information.
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SNS(Facebook、Twitterなど)

たまにFacebookやTwitterのカンファレンスやチームのアカウントが試合を放送している場合がある。試合は少なくともシーズンが終了するまでの数カ月間はアーカイブで残している。

ACC Digital Network(YouTube)

ACCは後日YouTubeに試合をアップロードしている。俺はYouTubeのプレミアム会員なのでACCの試合はACCデジタルネットワークがYouTubeにアップロードした試合をスマホに一時保存して観戦している。

ACC Digital Network
The ACC Digital Network (ACCDN) is the official YouTube home for all of the best Atlantic Coast Conference (ACC) action. Live games along with regular daily ...

Big 12(公式HP)

ビッグ12は有難いことに公式HPで試合のアーカイブを残している。

TCU vs Kansas State Replay

ブラケットを作る

計画的に試合を見る

概要

ブラケットは一日にして成らず」という言葉がある。要するに「トーナメントの予想は1日ではできない」という意味だ。理由はシンプルにチームが多いからである。NCAA D1には約350校が所属していて、NCAAトーナメントにはその内68校が出場する。故に、ブラケットの発表から1回戦までの数日間で全チームの実力を把握してブラケットを埋めるのは不可能に近い。だから、シーズンを通して計画的且つ効率的に出場校の試合を見ていく必要があるのだ。

ノンカンファレンスシーズン

ノンカンファレンスシーズンは前評判の良いチームを手当たり次第に見る。目的は各チームの選手層の厚さをざっくりとチェックすることだ。


勝敗やチームとしての完成度は無視して良い。と言うのも、カレッジは基本的にシーズン序盤と終盤で見違える程チームが改善されるからだ。D1プレーヤーはバスケの才能がある。しかもコーチは超優秀だ。だから、多くのチームが短期間で成長するため、シーズン序盤で決めつけてしまうと痛い目に遭う。


どちらかと言えば悪い部分よりは良い部分に注目する。チームがちぐはぐな状態にも関わらず得点を重ねている選手は本当に得点力があるかもしれない等である。


コツはトップ校同士の試合を見ることだ。こうすれば一気に2チームずつチェックができて効率が良い。ミッドメジャーとローメジャー校は無視して大丈夫だ。

カンファレンスシーズン

カンファレンスシーズンは好成績のチーム同士の試合をチェックする。


ノンカンファレンスシーズン終了後、そのシーズンの輪郭が浮き上がってくる。チェックすべきチームはハイメジャーでは各カンファレンスで5校程、ミッドメジャーでは各カンファレンスで1~3校、ローメジャーでは各カンファレンスで0~2校に絞られるはずだ。要するに、ハイメジャー35校、ミッドメジャー50校程になる。


言い換えれば、成績が良くないチームは一旦見限る。たとえ好きなチームやNBAプロスペクトがいてもだ。理由は単純に強いチーム同士の試合だけでも見なければならない試合が山ほどあるからだ。先述した通り、ハイメジャーだけでも35校をチェックしなければならない。


ただ、カンファレンスシーズンの中盤から上がってくるチームもので、見限るのはあくまで仮である。一度見限ったチームでも調子を上げてきた場合は再びチェック校に昇格させる。

カンファレンストーナメント(ポストシーズン)

ミッドメジャー校をチェック

カンファレンストーナメント期間はNCAAトーナメントの出場が確定したミッドメジャー校をチェックする。


チェックするのはカンファレンストーナメント決勝である必要は無い。オススメはカンファレンス代表校(カンファレンストーナメントを制覇してNCAAトーナメントに出場するチーム)とそのカンファレンスのリーグ戦の成績が1位だったチームの試合だ。


NCAAトーナメント出場校はカンファレンスで最も強いチームが出るとは限らない。


ハイメジャーのカンファレンストーナメントはチェックする必要は無い。勝っても負けてもどうせ出場するからだ。加えて、そもそもミッドメジャーのチェックで忙しいのでハイメジャーまで手が回らないはずだ。1回戦敗退が濃厚なローメジャー校は後回しにする。

セレクションサンデー

セレクションサンデーでブラケットが発表後、まずはざっくりとエリート8やファイナル4までの予想を作る。その後、自分の中で自信が持ていない予想が出てくるので、その曖昧になっているチームの試合を見返したり、他人の予想を参考にしたりして、どんどん予想を確定させる。この作業を繰り返して1回戦が始まるまでの4、5日間でブラケットを完成させる。

NCAAトーナメント中

NCAAトーナメント中は兎にも角にも試合を見る。とは言え、大会期間中に全試合観戦するのはかなり大変なので、応援しているチーム、注目カード、盛り上がっている試合を中心に見ると良い。

まとめ

カレッジバスケは金とプライドを掛けて予想をするから結果に一喜一憂できて面白い。

カレッジフープスの記事

参考

College basketball live stream: how to watch 19-20 NCAA games online from anywhere(techradar.com)
The Bracket Project – Ranking the Bracketologists(bracketmatrix.com)
List of 2019 March Madness Bracket Challenges to Fill Out & Prizes(boydsbets.com)
Warren Buffett’s March Madness Bracket Challenge: What Are the Odds?(investpedia.com)

管理人

俺達B.O.Brosはアメリカかぶれの”bro”2人だ。両者共にアメリカの大学に留学経験(1人は現在留学5年目)がある。元々はバスケ好きが高じて渡米したのだが、今ではバスケを通り越してアメリカ的価値観や文化そのものの虜になり、固まった休みが取れ次第、試合観戦がてらアメリカ各地を巡っている。トレンドの話はTwitter、俺達自身についてはInstagram、ブログのコンセプト外の話はnoteで発信しているので、興味があれば、そちらもチェックしてもらえれば、と思う。

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